就職試験を断然有利にするためには

  私は延べ100人くらいの入社希望者を面接した経験がある。勿論ペーパーテストをもしたが、テストの結果と入社後の仕事に対する能力は全く別物だと判明してからはもう筆記テストをやらなくなった。

 そうは言っても何とかテストをやらなければならないので、種々色々な手を考えた。あるトラブルの状況を説明しそれを簡単にレポート用紙に書いて欲しいというのもあった。

 ある女性を面接した時にそのテストをした。これも一種のペーパーテストではあるがその時は何とか真の能力を見極めたいとの思いからそのテストをやったのだが、その女性は日本語も文章も採用に値するほど上手だった。

 もう39歳になっていて、あとから聞くと就職口は全くなかったとのこと。勿論面接ではそんなことを彼女は言わない。さる大きな団体に勤めていたのだが、仕事が詰まらなくなって、もっと自分を磨きたいとの一心でそこを退職して、自分の希望を叶えてくれるような会社を探したのだ。

 ところが世の中そんなに甘くなかったと彼女は言う。私は年齢など相手が気にしなければ仕事にはなんの関係もないと思っていたので、採用することにした。給料は仕事に見合う額。

 彼女はさる3流高校を卒業後東京6大学に入学、卒業したらしい。それでもその高等学校では歴史的なことだった。それほど彼女の卒業した学校は大学入学試験が不得意な高校だったのだろう。

 私は履歴書を見るが参考にするだけで、その内容を頼りに入社の合否を判定するなどはしない。ある時高等学校卒業の男性が求人に応募をしてきた。今まで東大、京大、早稲田、慶応出身者などを採用していたが、仕事がはかばかしくない。

 それでもう学歴は無視することにして中学卒業、高校卒業でも採用する方針に転換した。その高校卒の男性に聞いてみた。ドイツから日本まで貨物船で何日掛かるかと。会社は主として輸入卸業を営んでいたので、そんなことを聞くには的外れではない。東大卒も誰もこの質問には答えられなかった。何故なら船の速度も分からないし、ドイツから日本への距離も情報がない。

 この男性は暫く考えていて紙と筆記具を貸してくれと頼んだ。何分か数字を書いたり計算している様子。興味を持って見ていると「40日」くらいだと答えた。

 ほぼ正解である。地球の半径は10000キロ余り。船は最短距離を選ぶからスエズ運河を通ってくる。世界地図が大体頭に入っていると距離を大まかに計算できる。

 次は船の速度だ。車よりは遅いが最近は高速船もできているので、彼は車より少し遅いと想定したようだった。かくして東大卒も京大も誰もが解答できなかった難問に見事答えを出した。

 こんなことは仕事をしていく上で必要のないことだが、これは大数計算という手法を用いれば何とか解けるのだ。高校や大学では教えないらしいが、とても役に立つ学問である。

 だからと言って彼がとても仕事ができるかというとそれは別問題だ。そんな試験は能力の一部分を判定するだけのもので、仕事には総合的な能力を要する。だから就職試験をする方もされる方もやみくもである。

 大銀行では10回ほど面接をすると言われたが、そんなに綿密にテストをしても出来が悪い人が大半である。じゃ採用担当者はどうするのだろう。一番は第一印象である。

 それが分かれば第一印象を良くすればいい。しかし自分自身が人に与える印象は今までの全ての環境や経験の積み重ねの結果できあがる。付け焼刃では印象を変えられるものではない。

 だから印象を変える手っ取り早い方法は着て行く服を吟味することに尽きる。長年面接をやってきて自分自身も試験で能力を判定することができないと分かって、ここに考えが至った。

 この方法は実際、自分の子供に試した。就職するのは男二人。卒業が近くなると仕立て専門の英国屋という洋服屋に連れていって、紺かグレーの洋服を仕立てさせた。料金はこちら持ち。今は30万円ほどすると思うが彼らの将来を考えるとこの程度の出費は覚悟した。

 結果、彼らはどの会社の就職試験にも全て合格した。これこそ馬子にも衣裳という言葉通りだ。女性もそうだ。ブランド名が外から分からないような無難ではあるが、高級な服を着て行けば良い。

 因みに5流大学を出た方の子供はその後独立して、今や極めてリッチだ。

酒巻 修平

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