上司の評価を簡単に高める方法 上

  あなたはある上司の部下である。当たり前なのだが、部下は上司以上にはなりえない。例え貴方の能力が上司より上であっても会社としては上司を通じて評価される。もっとも社長が全社を隅々まで見渡すことができ、個々の社員の能力の正当な判定ができる程度の小規模な会社では事情が異なるかも知れない。

 こんな場合は社長とあなたの間に上司がいても、本当の意味の上司は社長である。さて上司の定義はおいて、上司にこいつはものになる、できると実力を評価されるにはどうすればいいかというのがこの項のテーマである。

 上司があなたに何かの仕事を頼んだとする。そのときにはあなたはどう対処するだろうか。頼まれた仕事を早くこなす、正確に処理するなど思い付くことは幾つかあるだろうが、私の40年の社長経験の中で社員を評価する点を開示したい。

 それは頼まれたことの120%の仕事をすることだ。例えば取引先の状況を教えてくれと言われたときにはどのように答えるだろうか。社長はそう訊くのであれば取引関係の伝票を見ていないであろうし、コンピューターに入力されているデータも参照していないと考えられる。

 あなたは現在の取引の状況を説明するだろう。売上高はどうであろうか、相手の会社の規模や自社以外の取引会社がどこであるかなど説明するだろう。それで社長は満足すれば良いし、満足しなければ追加して情報を与えなければならない。

 社長があなたに尋ねたのには理由がある筈だ。もしかして取引金額が大きく膨らんで相手の経営状態を含む信用状況を知りたいのかも知れない。あるいはただ興味を持っているだけの場合もある。

 どんな場合であっても、社長が知りたいことがある筈だ。その全てを察することはできないが、あなたは社長が知りたいことに追加してできるだけ多くのデータを提示しなければならない。

 取引銀行、そこからの借入金の額、不良債権の有無、社員の会社に対する姿勢、残業が多いかどうか。社員の入れ替わりは多いのか少ないのか。オフィスの整理整頓は行き届いているのか。仕入先との関係は。決裁権者は誰か。そんなことなどある程度社長の知りたいことを察して、要求されることの100%ではなく、120%の情報を提供しなければならない。

 こんな直接的な質問ではなく、常日頃のあなたの仕事ぶりも観察されている可能性がある。そんなときにはどのようにすればいいのか。色々あるだろうが、私がある会社に勤めていたころの経験談をしよう。

 そこは高級木材の輸入会社である。当時はコンピューターなどあるわけではないし、計算機さえない。今は骨董品として価値があるような手回しの計算機などを使っていた。

 電子メールはないしまだファックスもなかった。テレックスというマシンで米国からブラックウオールナットという高級木材を輸入していた。当時日本で一番扱い量が多かったが、アメリカから来る納品書は不親切極まりのないものだった。我々はいつも輸出先から提供された長さと断面積のデータから木材一本一本の体積を計算、割り出しを行っていた。

 縦には長さ、横には断面積が書かれた表があり、長さの横を移動し、断面積は下の方に移動する。交わったところが体積だ。この表があるだけでも作業は掛け算をするより相当早かった。間違ってはいけないので、定規を使いながらの作業をする。一度に2000本ほど輸入するので、事務員全員で作業を進める。

 私は一計を案じ、100ほどあった体積表を日曜日に全て暗記することにした。若かったので、一日もあれば全てを暗記し確かめてから体積を書いていった。表を参照しないので、早い。同僚の1/5程度の時間で作業が済む。だから私が半分ほどの体積を書き、残りを4,5人でやった。それを見ていた部長は何も言わなかったが、その年の私の夏のボーナスは他の人より断然多かった。

 今はこんな原始的な仕事のやり方をしていると他社に後れをとる。全てコンピューター処理されるであろうが、やはりinvoiceから長さと断面積を入力しなければならない。今でも私が昔やった方法の方が早い気がする。

 今全ての事務処理はエクセルなどを使ってやるが、ここにも改善の余地がある。私はあるときエクセルにマクロと言う機能があってそれを発展させたVBAという言語を使うと処理が格段に速くなることを発見した。

 それからはVBAを覚え、全ての事務作業をプログラム化した。すると3人でやっていた作業が一人でできるようになり、人件費が浮いた。あなたも要求されていることの120%をすることを心掛ければ自分自身のため、会社のために大いに役立つことを請け合いである。

 但しこれは仕事のコツの片方である。引き続きもう片一方を明日公開します。

酒巻 修平

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