上司の評価を簡単に高める方法 下

  前回は自分に対する上司の評価を上げるためにはどのような心構えを持ち、それを仕事に反映させるか経験からくるやり方を述べたが、今日は上司の能力や考え方に直接働きかける方法を考えようと思う。

 自分は勤めた会社でも他社や自分が運営した会社でも上司は存在した。社長の上司はいないように見えるが、商品を買ってくれる会社の担当者や銀行の責任者などは上司である。

さて、社員一人一人が個々に自分のやり方で仕事をすると組織の統制が取れないことになり、結果として全体の業績が低下する。

 仮にある社員が極めて大きな金額の受注をしたとしよう。メーカーでは商品の生産をしなければならないし、商社では仕入れを起さなければならない。これには生産用の機械設備が必要だし、仕入れ資金も調達しなければならない。

 すると資材部や経理部などの関係部署との調整をしなければならない。あなたは営業マンなので、この調整は多分上司が行うことになる。

 一般社員でもあなたの上司の課長、部長、役員、社長、その人達が全て仕事に対する能力が充分かどうかは疑問である。社会現象を観察すれば分かることだが、仕事をきっちりこなす人は10人に一人くらいしかいない。

 医師、弁護士、税理士、造園業者、リフォーム屋さん、飲食店の店員、店長など、こちらが満足するような人は本当に少ない。我々は社会生活を営んでいくにはそれらのやや能力に欠ける人とも関わっていくことになる。

 スポーツ選手を見てみよう。オリンピックで金メダルを取るような優秀な選手でも好不調の波があり、それをコントロールしなければならない。全ての人が常時あるいは時々能力が不足することがある。

 マラソン選手の高橋尚子さんの監督だった小出義男氏は高橋選手を褒め、おだて同時に厳しく指導した。高橋尚子さんは高い能力を持って生まれてきたのであろうが、この小出監督がいなければオリンピックで金メダルを取れなかったであろう。

 小出監督と高橋選手の関係は一般社会でも存在する。指導する方と指導される方。指導する方は選手並みに走れない。会社における指導者は営業マン並みに仕事を取ってくることができない。

 上司の評価を良くするにはこの上司をあなたが使いこなさなければならない。それにはおだて、褒め、そして厳しく指導する。人は両親から生まれてきたので、表裏二つの面を持つ。どんなことにも二つの面があるように、人と人の関係では精神的な面と物質的な面。あるいは優しさと厳しさ。そんな二つの面を同時に行わないと関係はぎくしゃくする。

 厳しさの面は前回述べたように120%の仕事をすることだ。上司はそんな部下の仕事のやり方にショックを受け、精神に厳しい課題を投げかけられた。今度は優しくしなければならない。

 トランプ米大統領の外交戦術を分析すると彼は諸所で相手の習近平や金正恩をおだてている。自分に過度の自身を持つ人や劣等感を持つ人はこれに弱い。私の経験では日本人よりアメリカ人のほうがおだてには弱い。

 かくして社員は上司(ひょっとしたら実質上あなたの方が上司かも知れない)に優しく厳しく対応、指導していく必要がある。おだてるとは別の言葉ではお世辞を言うということになるが、そうではない。優しくすることはその人の持っている長所を言葉に出して言うということだ。

 これは有能な指導者が選手に対して行っていることで、選手自身気が付いていない長所も発見してそれを相手に告げ、「お前はできる。能力がある。もっと頑張れ」というのと同じ手法だ。

 私はある程度の歳になってからこの手法を取り入れることができるようになった。私の評価はその時から極めて高くなった。相手を喜ばすことは悪いことではない。あなたが自分自身で変形させて自分でも納得できる言葉を使って相手をほめる。上司はあなたの部下になるでしょう。

酒巻 修平

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