緑内障に掛かった
最近視力が落ち、眼鏡を掛けても0.7くらいしかない。昔は2.0あったので、隔世の感が拭えない。もうすぐ免許の書き換え時期も来るので、眼科医を訪ね視力低下の原因を探り、治療をしてもらうことにした。
車で10-20分の範囲に幾つか眼科病院があるので、そのうちの一つを選び、訪ねた。待つこと30分ほどで私の番が来て、種々検査の後医師に呼ばれた。医師は検査結果を見ながら「これは緑内障ですね」と宣言するように私に話しかけた。
それから「今から手術をしましょう」と心の準備もお金の持ち合わせもない私にそんな処置を提案した。しかしすぐに手術など気持ちなれない。明日また来ますとその場を繕ってその医師の元を去った。
妻が緑内障に掛かっているので、意見を聞いたり、考えたりした。妻はすぐに手術をしようと持ち掛けるのは信用できないと言うし、考えてみると緑内障は手術では治らない筈だ。その医師は信用できないと判断し、診察券を破棄した。
しかし打ち捨てておく訳にもいかない。明くる日、別の医師の診察を受けることにした。ここでも種々の検査をされたが、前日の病院とは少しアプローチが違う。そんな感想を持ちながら診察の順番を待っていた。
医師は昨日の人と同年代の5,60歳台で温厚でもなく、横暴でもなく、普通の感じの人だった。私が昨日緑内障と診断されたが、疑問が残ったので、ここに来た旨のことを告げると、こちらの顔を見て、「いや、緑内障ではありません。これは白内障です」と診断を下した。
それはあり得ることで、私くらいの歳になると多かれ少なかれそんな症状が出ることは聞いているし、納得しかけた。ここまでは良かったのだが、その医師も「簡単な手術ですから、今日やってしまいましょう」と即日の手術を勧めた。
そのときの説明には白内障の手術は何度でもできるというニュアンスが含まれていたので、私の聞き及ぶこととは違う。昨日も即日手術と言われ、私には眼科医に対する信用が失せていたので、ここでも言葉を濁し、その日は検査だけで、帰宅した。
この二人の眼科医のどちらかが間違っていることは確実である。かたや緑内障と言い、かたやそうではないと言う。私の判定はどちらも信用できない。患者のことを考える前に自己の営業を優先している。これは医師としてのあるべき対応ではない。
それ以降眼科医の診断を受けたことがないが、眼鏡屋さんで視力検査をすると免許証を取得するための視力は保っていたのが分かった。ただ眼鏡を掛けてもぎりぎり0.7が見える程度。免許更新までにはもう少し度数の高いのを購入しなければならないとは思っている。
これは私に起こった実話である。個人の開業医では患者数の確保、収入の増大に苦慮しているであろう。大学病院などには患者が集中し、毎日5000人とか7000人の人がやってくると言う。
個人病院でも優秀な医師がいない訳ではなく、そこには患者が集まる。医師が考えているほど患者もものを考えないことはない。毎日勉強し、よりよい医療行為を提供すれば患者は自ずと集まる。それをしないでその日限りの営業行為を行う医師が多いのは困りものだ。
患者はどうすれば良いのか。種々の検査を受け、即日ではないが手術をすれば手術箇所はもとに戻らない。もし営業のためあらぬ病名を告げられたら患者はどのように対抗すれば良いのか手段は少ない。
必ずセカンドオピニオンを取り入れてから手術を受けるということもあるだろうが、私が経験したようにセカンドオピニオンも怪しいとなると病院難民になってしまう。
そんな虚偽の病名を付けられてことは今度だけではない。過去に何度も医療過誤を経験している。医師には定期的に医師資格確認のため、国家試験を課すべきではないか。あるいはそれに代わる有効な方法があればそれでも良い。
厚生労働省は医師の資格を付与する権限を持っている。そうであればその医師を管理する義務も負っているのではないだろうか。
酒巻 修平