ヨガ行者の寿命
ヨガが美容と健康に良いと女性の間で人気が高い。私の周りでも各種のヨガをジムなどでやっている人が多いし、教授の資格を取った人がいて、一時教えていたようだ。
我が社でも3か所にスタジオを持ち、運営をしていた。ヨガには種々の呼吸法があり、これを学ぶことがヨガを行う目的になっている。ブームが来るずっと前から何冊も本が出版されていて私も一冊持っていた。
私は生まれつき喘息の持病を持っていて、薬では治らないこの病気をヨガで治そうと試みた。やった呼吸法というのは「スイーッタリー」と言ったと記憶しているが、舌を丸めて吸気し、鼻からゆっくりと排気するというものだった。
発作が出るとこれをやるのだが、発作は止まらないし、軽減もしなかった。私が未熟ということもあるのだろうが、効果がないし、指導者もいなかったので、自然に辞めてしまった。
ヨガは正式にはヨーガと言う。ウルドゥ語かサンスクリットか知らないけれど
インドの言葉では長音を大切に扱うからヨーガと発音しなければならない。因みに釈迦の正式な名称は「ゴータマシッダルータ」と発音し、長音や濁音吃音が入り乱れて複雑である。
ジムなどで教えているヨガは呼吸法に加え、体の柔軟さを求めて手足を動かすようなものだ。しかし極端にやり過ぎると筋肉を傷めてしまう。筋肉には伸びる限界があるのでそれを超えて無理をすると治らなくなるから要注意である。
古来からヨガはできるだけ少ない飲食で生きられるように工夫されたもので、経済的な理由から食料が手に入り難い人達が行っていた。インド発祥と言われるがその辺のところは私には分からない。
日本でもインドでも同じだが、裕福な家庭の女性はふくよかで、それが美人の条件とされていた時代が長く続いた。食料の確保が比較的簡単になってからは美人の条件は変化していったが、ヨガの行者は全て痩せている。女性が行者のように真剣に行えば痩せるであろうが、ヨガをやっている昔の女性を見ることは少ない。
昔ヨガは貧乏な人がやっていて、摂取する食料が少なくて済むようにするのがその目的であった。しかしヨガの行者は何か霊的なものを持っているように興味半分で間違って伝えられている。
中には行者の寿命は300歳であるとか、極端な場合は1000年生きることを目的としているとか誇張して伝えられる。本当のところ、彼らの平均寿命は70歳に達しない。
それはそうだ、生物の体は体外の物質の置換で維持されているのに、肝心な食糧の補給が足りないと健康な体を長く保つことはできないのは自明の理である。ヨガで学べることも多いがその効果を過信してはいけない。
確かに体内にある元素は全て宇宙にある。従ってその宇宙の元素を巧みに取り入れ効果的に体内物質と置換するのは無意味ではない。人の体の中に多く含まれる窒素も空中にも多く存在し、取り入れる空気の75%ほどが窒素である。
ニューギニアへ仕事に行ったとき豊富に食料を摂取していない現地人が大型の冷蔵庫を10キロ以上も休みなく担いで持って行ったのを目にしたことがある。彼は短命ではあろうが、とても力持ちだった。
体内に必要とされる物質を食料以外から摂取していたのだろうが、彼の体がどのようにそんなことをできたのか、日本人同士話し合ったが結論は出なく今でも謎のままだ。
食事を適当に摂り、ヨガを効率良くやればあるいは長寿を全うできるかも知れないし、健康にもなるだろう。しかしそれにはきっちりとした訓練を長期間やらなければならない。
最近長寿や健康増進の方法が種々検討されているが、それが良いかどうかの判定は確かな証拠がなければならない。証拠がなければ単なる仮説かあるいは思い付き、もっと悪い場合は本などを売るための捏造である場合も多い。
酒巻 修平