家屋の良質な修理を安くやってもらう方法

  私は仕入れを40年以上もやっているので、如何にすれば安くそして良質なものの仕入れができるかを絶えず考えていた。仕入が会社に取って一番大切な仕事のひとつである。

 商品の仕入は輸入に頼っていたが、同じ商品あるいは類似の商品を供給する会社は一つではない。その中から一つの会社を取引会社とするにはそれなりの理由がある。商品が同じであれば会社が誠実な対応をするかどうか、価格が適正かどうかだ。

仕入は海外に依存すると言っても会社を運営するには国内からも色んなサービスや物品を購入しなければならない。価格が安いからと言って跳びつくと後で後悔することになる。

家屋も建ててから年月を経るとどこかが故障してくるものだ。故障でなくても電球や水道のパッキンの交換、外壁の補修など素人が簡単にできるものは良いのだが、プロに頼まなければならないことも多い。

頼むこちら側は頼む相手に比べて小さな規模である。そんな小さな規模の個人が大きな会社に頼むのは基本的にあまり勧められない。我が社も自動車メーカーと直接取引をしたことがあるが、結果は惨憺たるもので、両者の色んな問題が発生した苦い経験がある。

小さな規模の修繕は小さな会社に頼むのが良い。一番大きくても外壁の修理くらいでは大きな会社に取っては「煩わしい」の一言に尽きる。勿論大きな会社も仕事として扱うかも知れないが、大抵は外注だ。仕事を取ってからは下に丸投げして、丸投げされた方はまた下請けに仕事をさせる。

これでは適切な価格でまともな仕事ができる筈がない。家を作るのも大きな会社では小さな仕事の一部である。下請けに丸投げして一次下請けが孫請けの数社に仕事を依頼する。

隣の家が庭に息子用の家を建てることにして大手の建設会社に仕事を依頼した。興味を持って見ていると、頼まれた会社の作業員(どうもその会社の社長が作業を直接やっているようだった)が昼の2時くらいに仕事を止めて帰途に付こうとしているので聞いてみた。

「今日は早上がりですか」という私の問いに「どうせ一日いくらということで仕事を受けているので良いんです」との答えが帰ってきた。隣は老婦人。ご主人がなくなって自分で契約の履行をしなければならない。家を建てるのは大会社。安心していたようだが、このような有様。

すっかり建築が終了してからある日雨が降った。雨水が車庫に入ってくる。老婦人が困っているので見て揚げると、車庫の前のコンクリートが逆勾配になっている。やってきた大会社の人にその旨私が代行して言ってあげると「修理の見積もりをしますか」と理不尽な応えを返す。

「私が代理で修理を無償でやらせるよう取り計らいましょうか」と親切心を出したが老婦人は争いたくないとそのままになった。今でも雨が降ると車庫の中は水浸しである。

水道のパッキンの交換など本来は誰にでもできるが、女性や面倒くさがり屋の人はついつい外注をしてしまう。換気扇の掃除もそうだろう。

 パッキンの交換などをテレビで宣伝している会社がある。試しに電話してみた。通常は出張料込みで一か所6000円くらいですが、パッキン以外の部品を交換や普通でない作業をすればその分が加算されますと言われた。

 パッキンの交換は大体5分で終わる。一か所6000円とすれば、時間給72000円である。どう考えても高すぎる。もう少し安くならないのかと、探りを入れると当社はその値段でやっていますとけんもほろろの返答が返ってきた。

 効率よく仕事をしている筈なので、現場までくる時間は30分くらいだと見積もると如何にこの料金が高いかが良く分かる。自分でパッキンくらい交換できなければ男失格と言われそうだが、道具がないし、面倒だ。つい頼むことになる。

 この会社にパッキンの交換を依頼した人に聞いてみると何だかんだと12000円も取られたと言う。どこがいけなかったのだろうか。

 簡単だ。頼む会社が不適当だったのだ。この会社も設立当初は安かった。それが会社の規模が大きくなり、電話に出るアルバイトを雇用すると金儲けだけが目的となる。

 ではどこに依頼すればいいのか。簡単だ。ネットにいくらでも同種の会社が出てくる。創立したての会社は安いのだ。電話を10本も掛ければ適当な会社が見つかる。私は一か所1000円で交換してくれる会社に頼んだ。作業中に会話をすると1000円で充分利益が出ると話された。

 勿論その他に余計な費用は掛からない。しかしこの会社も利益が上がるようになり、会社の規模が拡大してくれば上記の会社ほどではないにしても、料金が高くなると思われる。

 創業当初の会社は作業員を雇う経費が出ないし、社長自らが作業を行う。顧客の獲得に必死なので、作業も丁寧で格安料金を設定してある。

 私には25年来付き合ってきた会社があり、非常に上質なリフォームをしていてくれたが、会社が安定すると今は他社の2倍の料金を取るようになったので、そことは取引を停止した。

 個人の支払う金額は大きくないので、大会社に頼んではいけない。大会社は大会社と付き合いすべきであって、個人が取引をするととんでもない目に会うことがある。入念に調べ、見積もりを取り、電話連絡をしょっちゅう取る。

 そうしている間に相手の誠意の度合いが分かるものだ。小さくて誠意のある会社を見つける努力を怠らなければ、必ず良質な修理をやってくれる会社は見つかる。

酒巻 修平

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