消えゆく言い伝え

箒にタオルを掛け、隣の部屋に逆さまに立て掛けておくと、嫌な客がすぐ帰る

歓迎されない親戚の嫌なおやじがくることもあるし、借金取りがやってきて長くいられると早く帰って欲しくなる。昔は貸金の取り立てに関しては法律や制度が不備で座敷にまで上がってくることがあった。あるいは意地の悪い親戚が何かの用事で来て長居をすることもままあった。こんなときは上に書いたようなことをやると覿面にそんな客が帰ってくれたものだ。

山で言ったことを忘れたか

これには説明が要る。炭は山辺で焼くことが多く、生産者はその炭に「里で使われるようになっても爆ぜたら駄目だよ」と炭に言って聞かせておく。さて里で火鉢などに炭を入れる(これをくべると言う)と爆ぜることもあり、そんなときは上記のようなことを言うと不思議に炭が爆ぜないようになった。

猫が耳の後ろまで撫でれば雨になる

これは今でも言うかも知れない。昔は気象衛星などもなく天気を予想することが難しかった。だから人々は色んな現象から午後や明日の天気を予想したものだ。月に暈が被ると雨になるということや夕焼けがあると明日は良い天気になるというのもあった。

痺れがきれると指に唾を付け、おでこに塗ると治る

法事などあらたまった席で正坐をすると足が痺れる。そのときにはこうすれば痺れがやや軽くなる。これは本当で是非試して欲しい。

やらなければならないことを忘れないようにするには紙で「こより」を作り指に巻いておく

指は時々見る。その時に「こより」があればやることをその都度思い出す。大きなことは忘れないだろうが、誰かに電話をすることなどを忘れないようにする。

果報は寝て待て

やるべきことは全てやった。後は結果を待つだけ。そんなときは心静かに過ごす、あるいは寝て待っていれば結果は良いことが多い。大体やるべきことをやると良い結果を得られる確率は高い。

茶柱が立つと良いことがある

これは安物の茶でなければなかなか発生しないことである。安物の茶を飲む人は経済的に恵まれない人が多く、このような迷信でありもしない幸運を願った。但しそんな人達に簡単に幸運が巡ってくることは少ない。立った茶柱を左手で持った(昔サウスポーは矯正された)箸で左の袂に入れないと折角巡ってきた幸運のチャンスをものにできない。

朝右、夕左

朝は右、夕方は左の耳が痒いと良いことがある。昔は良いことなど少なく、こんな迷信を信じたかった。昔の基準で考慮すれば今の人は全て金持ちだ。

夜爪を切ると親の死に目に会えない

親の死に際に居ることは最重要な行為であった。夜に爪を切るとそれができない。私も最近まで爪は夕方までに切っていた。迷信は信じるかどうか、精神の問題だが一度習慣として定着するとどうしても信じてしまう。

紺屋の白袴

紺の生産者に勤める人は反抗心からか、それとも紺色に飽きたからか、白い衣服(袴)を着用したものだ。私がときどき行く寿司屋の主人はフランス料理の愛好家だ。

酒巻 修平

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