ある韓国人

 その人は趙さんと言ってソウル在住で、私共の会社が韓国から物品を輸入していた時に誰かの紹介で知り合いました。仕事は輸出入をする際に商品を船舶あるいは航空機で運搬する手配をすることで、これを甲種仲買人と言います。

 我々が輸入した商品は当然税関のチェックを受けなければなりませんが、趙さんの会社はその税関チェック、即ち、通関業務をある日本の大手の会社に委託していました。その大手の会社の担当者は全てその人を尊敬し、畏怖しています。

 彼の会社にはとても優秀な担当者がいて、我々側の担当者もその女性の仕事ぶりを大いに評価していました。私は業務で何度も韓国に行き、その女性とも会いましたが、別段優秀だとの印象を受ける女性ではありませんでした。

 さて、趙さんの会社のその優秀な女性が病気になりました。彼女は孤児で、身寄りはありません。そこも儒教の精神なのか、趙さんはその彼女の医療費を全て負担したのです。病気は若年性の癌で、韓国の医療保険の制度がどうなっていたか知れませんでしたが、相当な費用が掛かったと想像しています。

 そして残念なことには彼女の病気は治ることなく、死亡という悲しい結果になりました。趙さんもとても残念に思って、何と葬式も出して上げて、お墓まで立ててやったのです。そして時々はお墓にお参りするということでした。

 非常な美談ですが、こんなことは日本ではとっくになくなって、今ではどこかの役所に報告してそれなりの処理をしてやるというのが、親切な部類でしょう。

 さて話しは変わって、その会社と取引していたのはもう大分前になりますが、当時私は2ヶ月に一度は韓国に行きます。何よりも楽しみなのは相手の会社の担当者や責任者と食事をして、酒を飲むことでした。あるいはそれが主目的で、ついでにビジネスをするという方が正しいかもしれません。

 食事をして酒場に行くともちろん相手の方も酒を飲みます。どんな酒を飲んだか、もう覚えていませんが、全員楽しそうに酒盛りが始まります。乾杯が終わると銘々自分の杯に酒を入れて飲むのですが、彼らは自分たちより年長の私の正面を向いて飲むことは決してしません。必ず横を向いて飲むのです。これは儒教の精神から来ているようで、年長者を敬う気持ちを充分に見て取れました。

 当時私は若くて毎晩ほど韓国でもアルコールを飲みに行きました。酒場はほぼ全て日本風でカラオケスナックやバーなどがあり、女性とも随分話しをしました。日本語を話せる人も多く、日本語を勉強するのが一種のブームになっていた時代です。

 それはまだ『冬のソナタ』が上映されるずっと前のことです。台湾を含め、韓国も小日本という感じすら受けました。だから私は韓国人に嫌われているという雰囲気を感じたことがないどころか、どこでも歓迎されたものでした。

 もちろんお世辞もありますが、ある女性は韓国人の四角い顎は嫌いだと韓国人の男性の前でも言うのです。確かに言われると傍にいた韓国人の顎は張っていて、その人と私は目を合わせて大笑いしてものでした。

 当時韓国人と日本人は仲が良かったのです。というより別にお互いそんなに意識していない感じで、互いが単なる似ている異国人と思いながら付き合っていました。

 それから少しずつ韓国では日本嫌いが始まり、『冬のソナタ』が流行った時のころ以外は先ず韓国が日本を嫌い、それに反応して日本が韓国を嫌いになっていったのでした。

 その原因は何でしょうか。ずばり政治家の私利私欲ではないかと思っています。朴槿恵前韓国大統領が罷免され、訴追されたのは、現大統領文在寅との政治闘争に敗れたからに過ぎないと推論しています。

 朴前大統領も能力が薄い大統領でしたが、懲役20年の実刑判決はやり過ぎでしょう。朴氏がやったことが本当だとしても、これは誰かの復讐劇あるいは韓国特有の『恨』

によるものではないでしょうか。そして国民が次の大統領に後押しされて朴氏にそんな過酷な刑を課すのに賛成したのだと思います。

なお朴前大統領の『反日』も政治的な思惑から出てきた主義でしょう。父親の朴正煕は親日で、朴槿恵もその影響下で育ったと思われるますので、心の底から『反日』であったとはどうしても思えないのです。

 我々は政治家を選挙で選びます。政治家は選挙で裏打ちされた権限の下で政治を行いますが、選んだとは言え、どこまでの権限を付与したのでしょうか。最初の反日はどの大統領が始めたのか知りませんが、国民は本当にそんなことを望んでいたのでしょうか。そしてそれは韓国にとって有益なものなのか、検証する必要があるでしょう。

 政治は時に指導者と称されるが、私はそうは思いません。このように表面上の権限を以て自分の主義主張や私利私欲を遂行することを国民は選挙の中に込めていたのでしょうか。決してそうではないと誰しも思うでしょう。

 ここに自由選挙制度の恐ろしさがあります。我々は国政に付いては無知で、特に外交などは一般国民が知りえる範囲にはありません。

 翻って我が国の大統領に当たる総理大臣の行動を観察してみましょう。安倍晋三氏は誠実で良く働き、日本の経済を活性化させ、多くの国ともより深い友好を結ぶことに成功しました。その意味で私は合格点以上の点を上げても良いと思っていますが、最近少しおかしいことが散見できます。もちろんどの『指導者』にも失政があります。完璧な人はいなませんので、諸事情を勘案すると失政も止むを得ないとは思えることがありますが、この人はあまりに国粋主義的であると思われます。

 元号が新しくなるという事態を踏まえ、5月に10連休を設定するという制度が実行されそうです。病院、銀行、中小企業、役所など困惑するとことが多いと思われ、前々から我が社はこの10連休を設定しない方針で進もうと考えています。小売店や食堂などは5月の売上が大幅に落ちると大きな心配をしています。

 これも『指導者』の主張の主義主張の実行ではないでしょうか。我々はそんなことに関して権限を与えたつもりはありません。しかし総体的な点で権限があると解釈されるので、この10連休は実行されるのが確実です。

 もし韓国がどこかの国と戦争を始めたらどうなるのでしょうか。国民はそんな権限を大統領に与えていますか。大切な国是に付いては国民の何等かの論議に服すべきではないでしょうか。その制度が適用されるのは一つだけ、憲法の改正です。

 政治家は国民のためにあるのであって、国民が政治家のために存在しているのは民主国家では当たり前のことです。が今まで友好的な関係にあった他国と摩擦を起こす政治家の私利私欲を止める手段はないのでしょうか。選挙法や『指導者』の権限の範囲は厳正に設定されなければならない重大な問題であると認識しています。

 韓国人は決して反日ではありません。政治家が自分だけのことを考え、そのように誘導しただけです。

酒巻 修平

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