日本で商品を売る方法

 品質が高く、値段が安ければその商品は売れると思うのは大いなる間違いです。

アングロサクソンの国では知りませんが、少なくても日本においては考え直さなければならないと思われます。

 第一に、商品はネットではなく、店舗で販売する場合などは売る人が販売額に大いに影響を及ぼします。これもその販売員の能力とは直接関係がありません。もちろん無関係でもありませんが、能力だけが販売高を決定するのではないのです。

 その人が客に好まれるかどうかが最大のポイントなのです。お医者さんを例に取って考えてみましょう。ここで商品というのは病気の治療行為を指します。まず知らなければならないのは医療行為とは何かと言うことです。

 病気の原因は一部の例外を除いてほとんど分かっていません。ですから医療行為は症状を消滅あるいは改善させることなのです。人の体の機構は極めて複雑、精緻で今の医学ではまだ解明されているのは3%くらいだと言われていますが、実際にはもっと少ないと想像されます。

 ですからお医者さんは人の自然治癒機構に依存して医療行為を行うのです。ですから能力が高い、低いと言ってもほんの少ししか変わりません。話しが横道に逸れましたが、お医者さんが流行るか流行らないかはそのお医者さんが患者にどのような態度で接しているかによります。

 患者はお医者さんを信頼しなければ病気の治癒率は低くなるので、医師という職業柄、お医者さんがあまりへりくだるのが良いとは必ずは言えません。威厳があるが、優しく接してくれる。そんな態度がもっとも重要だと考えられます。

 すなわち医療行為の良し悪しが、その医院や病院が流行るかどうかとはあまり関係がないのです。あるお医者さんはこれを勘違いして、必要以上に強い薬を出して、評判を取ろうとしますが、これは患者に取っては好ましい状況とは言えません。

 洋服を買おうとします。この時女性はどんな行動を取るでしょうか。何店舗かまずウインドーショッピングをして、気に入ったものを試着することから始めるでしょう。時々行く店では多分気に入った店員がいるでしょう。

 その店員さんがたまたまお休みだったら、どうするでしょうか。どうしてもその日に買いたいという気持ちがあれば買うでしょうが、でも普通はその店員さんがいなければ買う気が半減します。

 会社の仕入担当者もそんな傾向があります。相手の会社には何人かの営業マンがいるとして、いつも対応してくれる担当者を指名して仕入の交渉から購買に進んで行くでしょう。もちろんこれはプロの話しですから、その担当者の出来が悪いと取引をすく気が失せることがあります。

 ですから反対に売る側からすれば、商品を売る前に店員なり担当者が先ず自分自身を客に売ることです。こんなことがありました。誰かにプレゼントをするために洋品店に服を買いに行きました。もちろんプレゼントをする人を連れて行きます。

 同じデザインの色違いの商品のうち、私は緑色の方を選びました。そうすると応対をした店員が「いやこの方にはこちらの白が似合います」と言ったのです。もちろんそこで服を買うのは止めました。客の好みを否定する店員の態度はいただけません。

 売ることの第二は商品のブランド名です。日本人は物の本当の価値より付帯的な商品の名前などに拘るものです。日本だけではなく、全世界特にアジア人にはこの傾向が顕著のようです。

 ですから商品を売り出すために大切なのはブランド力を付けることです。有名人が使っている、価格が極めて高い、テレビで宣伝している、本などで良く見かける、何かの理由で話題(ブーム)になった、などなど商品の価値とは関係が全くありません。でもブランド力があるので客は買います。

 昔はルイヴィトンというブランドのものが良く売れました。確かに堅牢ですが、デザインがもう一つだと私は思っていましたが、飛ぶように売れたものです。

 今は有名ブランドが飛ぶように売れる時代ではなくなりました。何故でしょう。ブームが去ったからです。元々このルイヴィトンはヨーロッパの貴族が好んで使ったのですが、それは堅牢性にあったからです。それはそれで理屈に合っていますが、日本人は多分このブランドを持っていると自分も貴族とまではいかなくても、リッチと見られるという希望があったのだと思われます。

 今は中国人などがよく買っていますね。日本ではこのブランド名の神通力は小さくなったのでしょうか。

 同品質の商品では値段が安い方が良いに決まっています。でも値段が安いから売れるとは限らないのです。レストランを経営する人に聞いてみますと、中途半端な値段(お勘定)を付けると却って客が来ないと良く言われます。

 時々猛烈に高いレストランに招待を受けますが、味はたいしたことはありません。でも満杯なのです。客は高い店に来たという満足感で食事をするので実際より美味しいと感じるのでしょうか。

 あるお菓子屋さんが評判になって、客が行列を作って買いに行きました。何故行列ができるほど評判を取ったのか、知りませんが、兎に角いつ見ても行列を作っていたものです。でも最近はブームが去ったのか、行列はできません。お客さんがちらほらといる程度であれでは店は儲かっていないなと思ってしまうほどです。

 皇室の関係者が使っていたというバッグがブームになったことがあります。その人は皇室の関係者になる前は普通の人だったので、普通の値段のバッグを買って使っていたのでしょうが、皇室関係になったことで使っているバッグが突然有名ブランドになりました。

 販売する店舗数が増え、大いに会社の業績は伸びたでしょうが、この会社の経営者はあまりどうして売れるのかということを考えなかったようで、今はブームが去って店舗数も激減してしまいました。

 本来高品質の商品がそれなりの値段であれば売れるものです。それを怠り、ブームに頼り切りになるのは売る側としてはブームが去った時に売れなくなるのは日を見るより明らかなのを無視したのです。

 ルイヴィトンはそれを知っていたのでしょう。次々と良いデザインを発表して昔ほどではありませんが、いまだに客足が途絶えません。

 買う側としてはブームが去ると使うのも恥ずかしくなる時が来るということを念頭に入れるべきです。日本人は裕福だから、そんなブームが去ればさっさとその商品の使用を止めてしまえば良いのですが、そんなことをできない人に取っては困ったことになります。

 しかし裕福な人でもいずれ使えなくなる商品を買うのはお金の無駄使いです。何代も続いた旧家の裕福な人はそんなことはしません。しっかりした品質ももので、値段も適正なものを買います。この人たちはお金というものの本質を知っているのでしょう。

 買う側の心得としては名前やその他品質に関係がないか、不当に高い商品を買わない目を養うべきだと思います。これはそんなに難しいこととは思えません。買うか買わないかを決める時にどういう観点で商品を見るかを考えれば良いのです。

 売る側は商品が一時ブームになったからと言って本来あるべき努力を怠らないことです。

酒巻 修平

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