物価上昇と規制緩和

 規制緩和とは誰でもどの業種にも参入できるようにする政策である。国を跨ぐと関税と通関に関わる各種規制をできるだけ撤廃して、他国の商品の流入が簡単になり、一方自国の商品が他国に容易く流入させることである。

貿易はより簡単になり、経済が活性化するという効果が期待されるし、国内においては一社が独占しているビジネスを広く開放して、これまた経済が活性すると思われる。

現在政府は規制緩和を目標に各国と協定を結ぶ努力を懸命に行っている。元々TPPは中国経済の拡張をある程度封じ込める狙いがあったが、アメリカがデメリットを嫌がり、脱退してしまった。

そこで日本政府は主導権を握り、アメリカ抜きのTPP<にイギリスやEUを加盟させようとしている。

規制緩和はビジネスの機会を拡張するから当然競争が起こる。弱い企業は倒産するだろうし、弱い国は経済破綻することが想定される。EUに加盟しているギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、その他の国はその恩恵の取り入れ方が稚拙なので、万年経済危機に陥っている。

そんなデメリットはさて置くとして、物価が下がる方向に向かうことも規制緩和の効果である。これは国民の生活を楽にすると考えられる。しかしどうだろうか。

規制緩和されると、会社同士の競争が激しくなり利益率は下がる。一方他業種に参入することが容易になるが、人がその分多く必要になる。

会社の利益率は規制緩和によって下がること必定だ。東京電力のように政府が特殊な政策を施行している企業は影響がほとんどないが、一般企業は大きな問題に直面する。

一方どういう訳か政府は反対に物価上昇政策をやろうとしている。規制緩和は物価を下げる働きがあるのに、規制緩和をすれば物価は上昇するどころか下降する。何故こんな矛盾した二つの政策が両立できると考えるのだろうか。

ここで間違ってはいけないのは物価上昇や下降は物の値段の平均として捉えなければならないことである。電力料金が安くなったとしても、別なところでは野菜などの生活物資の値上がりが顕著である。

平均というのは一緒の魔術である。例えば、9<人の貯蓄が各10万円、1人が9910万円の貯蓄があれば10人の平均の貯蓄率は1000万円である。9人の人が一般の人で、あとの一人が金持ちという構図が生れる。これはどこかおかしい。

ガソリンの値段が下がったとしても車を持たない家庭はその恩恵に与れない。貧困な家庭では車など持てないから、結果として却って生活がますます困難になる。

政府や学者の言っていることはマクロ経済の話しで、全て平均と関連する。従って物価が下がった、上がってと統計が示しても一般の人には実感はないはずだ。

EUはアメリカ、日本、中国と経済的に対抗しようとして設立された。経済圏としては世界第2か第3になったと思うが、EUは一国ではない。

ここにも平均の論理が存在している。比較的貧困な国はより貧困になり、裕福な国だけが恩恵に与ると思えてならない。貧困国を救うにはEUを解散するか、機構の大幅な変更が必要だろう。

規制緩和によって町から、肉屋、魚屋、たばこ屋、文房具店、小さな寿司屋、居酒屋、昔あったマーケット、などなど多くの零細な店が姿を消した。その後に大資本が経営するスーパーマーケットが誕生し、上記の店を全て自店舗の中に持って零細な商売を横取りした。

しかしスーパーマーケットの数が増え、今度は互いに競争し合うようになった。一時生活必需品の価格は下落したが、生産者も生きていかなければならない。自然と物価の最下値があり、それが徐々に上がっていく。

スーパーマーケットの業界も弱肉強食で生き残りのために比較的小さなスーパーマーケットや経営の下手なところは大きく経営の上手なところに吸収され、だんだん数が減少する。

私は規制緩和を悪だと思う。そして同様に談合もそれなりにメリットがあると信じている。アメリカとの合弁事業で社員として働いていたとき、一番大切なのは売上高ではなくて利益率だと叩き込まれ、実際その効果を実感した覚えがある。

企業の利益率が高ければ社員の給料、ボーナスも多く出せる。逆も真なりで、利益率が低ければ全体的な利益を確保するために一人一人の社員が長い時間働かねばならない。

でも政府は残業をするなという政策を取っている。これらの政府の矛盾した馬鹿政策を何とかならないか。規制緩和する間、物価平均は高くならない。それがどうして分からないのか。

酒巻 修平

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