5月の10連休

 安倍首相は歴代一番の働きものだと言って過言ではないだろう。極めて多くの国を首相として訪れ多忙な外交努力をした。

 現実にバブル破綻後の日本経済を立て直し、株価も7000円台から20000円以上を現在推移している。

 特にアメリカとは今まで以上に友好関係にあり、アジアのことに関してはアメリカの大統領のトランプ氏も安倍氏の意見を聞く。ある意味東アジアのことに関してはある程度安倍首相、即ち日本の意思が反映していると考えられる。

 その安倍首相は現在の任期が完了すれば首相の仕事を後継者に任す、即ち首相を辞すと言っている。

 氏はある程度無私の精神を持って政治を行って来た。ただ無私は分析すると物質的な面と精神的な面がある。氏は多分日本を戦前の強い状態に戻したいと思っているのだと推測できる。

 考え方が純粋に日本国のことを思ってのことであれば、物心両面の無私であるが、どうもそうではないようだ。氏は国民の意見を容れず、自分の心の満足だけを考えているようだ。これでは半分だけが無私であろう。

 氏は国粋主義者である。人がどんなことを考え、実行しても法律が規定する範囲内では許される。しかし首相は違う。その考え、行為が国民を代弁するものでなければならないからだ。

 安倍氏は2期自民党の総裁の任にあった。自民党では綱領を変更し3期まで総裁の任期を延長したので、3期目即ち2021まで総裁、即ち総理大臣である。

 しかしもうそれ以上総裁に留まる意思がないことから、氏は2021年で総理大臣ではなくなるだろう。それ以降は更に綱領を変更してまで、総理大臣を務めるつもりはない。

 長い間ご苦労さんと言いたいが、残存任期が少なくなるに従って、心のたがが緩んで、国や国民の利益より自身の考えを優先する傾向が顕著になってきたのは残念である。

 元号が「平成」より「令和」に変更すると最終決定したのは安倍氏であろう。種々反対意見もあるだろうが、この程度は国民に大きい影響はない。中国に同名の商標登録があり、それが国としては小さな影響を受けるだけだ。

 しかし5月の10連休は頂けない。観光協会や繁華街などだけが利益を受け、他の大部分の人たちはとても困っている。市町村や国の役所、病院、会社などではその対応に苦慮している。

 天皇が代わり、元号が変更になるからと言って、どうして10連休にしなければならないのか。大きな疑問で、特に中小企業や零細な商店は大きな打撃を受ける。

 この政策は天皇家と大きい関係がある。国民の大部分が困難に直面するようなことを現天皇や皇太子が賛成するとは考えられない。自分たちの行為に関する悪影響が国民に及ぶのを天皇家の人たちが喜ぶとは思えないのだ。

 ひたすら国民の安寧を祈念している現平成天皇は心の中ではさぞ嫌がっていると思う。自分の意見をいう立場にいる訳ではないので、何の発言もないが、それこそ安倍氏は天皇家の人たちの気持を忖度しないのであろうか。

 元号が改まる時に儀式として参列してもらおうと世界中の全ての国の元首を呼ぶとも聞いている。元号が改まるに際しての必要経費は膨大らしい。

 1100兆円からの借金がある国が危険な増税を実行しようとしている。そんな財政状態の中、莫大な経費を使う必然性はあるのだろうか。どうも安倍氏はここでは無私の精神を捨ててしまったようだ。

 考えてみると氏の政策には中小、零細、裕福ではない個人の利益を考える政策の立案、実行がない。マクロが良ければそれで職務を果たしたと考えているようだ。

 だから景気が悪くないのに、上記の比較的弱小な会社、個人には景気が良いとは思えないのだ。安倍氏は「三本の矢」の内、一番難しい実体経済を向上させることに失敗した。

 今考えると安倍氏は2期が終わったところで止めれば歴史はとても良い首相だったと評価するであろう。しかし3期まで自分の精神的な欲望を満たすために任期の延長をしてしまった。

 3期目は自己の我儘を通すための期間でしかないように思えてならない。氏は裕福な家庭に生まれ育ち、経済的に下層な人たちの実態を把握していない。

 3期目があることで折角の成功が無になり、凡庸な政治家として歴史は捉えるだろう。

酒巻 修平

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