百花繚乱

 花は美しく、人の心を和ませるし、虫に食料を与え、香料の材料にもなります。繚乱とは咲き乱れることですが、それでは花の王者はなんでしょうか。

 欧米人に取ってはバラ、日本人に取っては桜でしょうか。チューリップも中世とても好まれ、投機の対象にもなったという記録があります。最高値は一株一億円とか。

バラは好まれるが故に品種改良され色々な色や形のバラが出現しました。緑のバラはまだないとか人の夢を掻き立てます。現在香水の原料はほぼバラです。昔はヘリオトロープやジャスミンを香料として使用しましたが、香りが強すぎたりして現在人の好みに合わなくなっています。

イギリスに古い民謡があります。「last rose of summer」というのがその一つですが、哀愁漂う美しいメロディーが特徴的ですね。知っている人も多いでしょう。

日本で今花見と言えば染井吉野という比較的新しい種類の桜を鑑賞するものです。丁度温かくなってきたころに満開を迎え、大勢の人、いやほとんどの人がこの花見という行事を楽しみます。

ですがこのソメイヨシノという種類の花は近年(と言っても150年以上前ですが)品種改良で作られたもので、40年くらいしか寿命がありません。

道路の両側に植えられた桜が大きくなりたるものです。

同じイギリス民謡に「春の日は花と輝く」、英語では「Believe me, if all those endearing young charms」と言うのがあります。これは若い女性が花のように美しいと称えたもので、これも有名な曲です。

日本は陸地の大半が山で、山に行けばどんな花でも見られますが、都会部では花を植える庭も狭く、だから花は珍重されます。これが芸術にまで昇華したのが生花です。

欧州でも同じ趣旨の「フラワーアレンジメント」がありますが、芸術性や奥深さは日本の生花には遠く及びません。最近では欧州の人も生花を習う人が増えていると聞きます。

花は木にも草にも咲きます。花が咲かない樹木、草はありません。イチジクは無花果とかいて花のない果物と称されていますが、本当は極小さいが、花が咲いているのです。

山で草に咲く花は山草と言われて可憐で、知人のロケット研究家は「一人静」が一番好きだと言います。確かに春先に咲く可憐で美しい花ですが、私は個人的には「イチヤクソウ」という山草が好きです。花が一輪だけ咲きます

それぞれの人には好きな花があるでしょう。その人に取っては花が美しく見えるからでしょう。では美というのはどういうことでしょうか。美は目で見る造形、耳で聞く音楽から生じます。

この美はとても大切な脳の感覚ですが、どうして人の脳が美を定義し、感じるのかは学問的には分かっていません。しかし脳に関係するのは確実でしょう。

人は発達した脳があるから花を美として見て、幸せな気分に陥ります。猫や犬にはそんなことを感じる脳が備わっていません。それを思うと人とは何と偉大な神の発明だと驚嘆せずにはいられません。

美と言えば女性の裸体もそうでしょう。古今東西女性のヌードが絵になり、人の目を奪いました。それを求めて男性は互いに争ったりしました。美を求める心だけではなく、持って生まれた本能の達成も目的になっていたのでしょう。

花を手折るというのは女性を抱くという意味に使われ、歌にもなっています。ゲーテ作詞、シューベルト作曲の「野ばら」。手折りて行かん 野中のばら  手折らば手折れ 思い出ぐさに 君を射さん と歌われます。

思い出ぐさに 君を射さん とはどういうことでしょうか。怖い思いをさせるのでしょうか。それとも別の何かでしょうか。そんな厳密な解釈は芸術には向いていません。感じるがままに独自の解釈をすれば良いのでしょう。

確かに女性は花と同様永遠の美のテーマでしょう。しかし南洋には「ラフレシア」などという匂いも形も美しくない花もあります。虫に取っては危険な花も多いでしょう。

今はアジサイが咲き、サツキが満開です。これから夏になれば樹木の花は百日紅くらいしか見ることができなくなります。忙しい時間を割いて花を観賞するのも良いですね。

酒巻 修平

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