殺人犯の子供時代

 殺人犯、特に大量殺人や連続殺人を犯す男性にはある一定の共通した子供時代を過ごすようだ。もちろんそのような子供時代を過ごした人がそうなるとは限らない。むしろそうなる人は稀であるが、逆から観察するとそんな犯罪者は幸せな子供時代を過ごせなかった。

 先ず母親の愛を幼少期に受けなかったこと。人以外の動物は子供ができると母親は必死になって自分の子供を守り、世話をする。猫は子供が6匹いても母はその6匹を全知全能で育てるのだ。

 これは動物に備わった本能で、人が他の動物とは違うのは脳が極端に発達したので、本能を忘れ自己の脳の快楽を求めるところから来ているのだろう。

 脳を使う、すなわち快楽を求めるのは子供を養育する本能よりそちらを優先させるからで、本能を忘れた母親はそんな不幸な子供を作ってしまうのだ。

 ある女性は母から無償の愛をもらったと常々語っていた。その人は女性としては極めて大らかな性格の持ち主で、人を許し、いわゆる大人であった。

 人の脳やその作用としての精神は生まれた時にはもう完成し、成熟しているのではない。10から12年に亘って徐々に作っていかれるものなのだ。その生育の過程すなわち幼少期に殺人鬼になるような人は不幸な経験をし、それに基づいて精神が構築されていく。

 全く正常だった人間が35歳になって突如として殺人鬼に変貌することはあり得ないのだ。彼らは幼児期から前触れのような行動を取る。

 統計では殺人犯は貧しく崩壊家庭で育っているのではない。安定してある程度以上の家庭で育っているものだ。知能が高い人物も恐ろしい連続殺人を犯す。

 7歳くらいまでの子供に取って最も重要な大人は母親である。その母親は前述のように子供に全ての時間を掛けて愛を与え、愛とはどのようなことなのかを教える。殺人犯はこの時期に母親から愛されず、冷たく扱われ、無視されて育つ。

 金銭よりはるかに大切なのは愛情である。彼らは愛情を受けずに育って、その後の人生を全て棒に振る。逆から考えるとこの時期の母親が如何に子供に接するかがその子の人生を決めてしまうのだ。

 酷い場合は母が子供を身体的、精神的に虐待しその子供が大きくなると今度は他人を虐待する。社会は自分一人で構成されているわけではない。回りの人、社会と如何にうまく関わっていくかを母親は教えるのだ。

 鳩を傷つけるのは良くないことだ。他人のものを壊すのは悪い。そのように親は子供に教えなければ、幼い精神は幼い自分の欲望だけで行動するようになる。

 将来家庭以外の人とどのように付き合い、どのように相手を尊重するかは子供と家庭の関係から導き出される。幼い子供は何もできない。誰かに頼りたいものだ。

 その時に頼りになる兄弟がいることは子供に取ってはとても有難いことだ。この時期子供に異常な性体験があると子供の精神は破壊される。父母の関係が正常であると子供は正常に育っていく。

 母親が麻薬に走り、大酒を飲むのは状況をもっと悪化させる。子供はその状況から学び大きくなっていくからだ。

 それでもまだ次の段階がある。思春期直前時期に力強い手によって救われるケースである。その役目は父親が背負う。だがそこで救われるのではなく、父親によって更に悪化されることが多い。母に問題があるということはそれに対する原因がある。それが父親との関係だ。その父親がこの可哀想な子供を谷底に突き落とすのだ。

 一つ考えさせられることがある。その殺人鬼の家族、親戚の中には必ず犯罪者がいることだ。これでは殺人を犯すような種類の遺伝子がどこかに含まれている可能性だ。

 殺人犯は必ずしも知能の低い人物ではない。中にはIQが130近くある人間もいて知能の低さが殺人に駆り立てるのではない。ただそれより高いIQ例えば150もある人物が殺人犯になるのは映画の中だけの話しのようだ。

 幼児期に一番大切な人はもちろん母親だ。母親が子供を慈しみ、愛を与えると人は殺人鬼にはならない。そういう意味で私は男女同権という名の元で母が子供を保育園に預け、働くのには反対だ。経済的な理由でそうしなければならないこともあるだろうが、その時はできるだけ子供と接触し、愛を注いでもらいたい。

 電車に乗っても若い人が老人に席を譲るのを見たことがない。母親が道徳を教えていないのか、道徳がどうあるべきなのか知らないか、どうも母が役割を果たしていないように思える。

不遇に育った人がそれをばねにして大成した例もまた多い。一番良いのは大家族制だが、現在では実現が非常に困難である。

酒巻 修平

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です