イギリス民話に見る男と女

 イギリス民話と言ってもどこの民話では同じ調子だろう。必ず、男と女、金持ちと貧乏人、王様と庶民が出て来る。

 岩波に「イギリス民話」という文庫本があって、それを買っておいた。しばらく本棚にあったが、ある夜から読み始めた。全部で100の民話が掲載されている。

 一つ一つは似たりよったりの話しだと思って読み始めたが、全ての内容が全く違い、3日くらいで読み終わってしまった。面白かった。

 しかし登場人物はどこの民話も同じで、全て対極にある人物が主役だ。やっぱり男と女が出て来て内容は類型的ではないが、両性の関係では苦笑が出るくらいどこの民話もよく似ている。

 若い女性は全て美しく、優しい。そこに絡むのが継母で根性がきつい。男性は必ずしも裕福ではないが、そのうち成功して立派になり、裕福になる。

 この男女は必ず仲よくなる。そうして目出度くゴールイン。「末永く幸せに暮らしたんだとさ」で終了。それまでの顛末が色々ある。

 さて今度は既に結婚している夫婦の物語、そんなに愛し合って結婚して、幸せになったのに、不思議と夫は妻を敬遠する。どうも妻は中年の太った女性という感じがしている。

 夫は事故か何かの原因で妻が亡くなるのを望んでいる。真実望んではいないのだが、そうなってくれるのが夢だ。妻は性格も醜く、夫を叱咤激励し、できるだけ働かせようとする。

 

 一方妻から見る夫は怠惰で、稼ぎが悪い。あの若いカップルは登場しないのか、結婚生活は夢に描いていたのとは大違い。ただ日々の生活を何となく過ごし、そこにはセックスをするイメージは全くない。

 あの熱烈な恋愛の後、結婚に至った男女はどこに消えてしまったのだろうか。駆け落ちをし、あるいは成功した男性が娶った美しく優しい妻はどうしているのだろうか。

 物語にはそんな描写が一切ない。幸せな夫婦も世の中に多いはずだが、そんなことを題材に取ると物語が構成されないのだろうか。

 若いころの男性は溌剌として仕事に邁進して、女性を幸せにする決意を固める。そうすれば妻になった女性は幸せなはずだが、そんな描写が出て来ない。

 実際の世の中もそうなのか。駆け落ちまでして結婚した夫婦は幸せになる確率は低い。そのくらいの男性は行動力があるが、社会生活の常識を弁えていない。

 そんなことを分からない女性側は男性が本領を発揮した時、はたと気が付き、男性の言うまま男性に付いていった自分の迂闊さに気が付くが、もう遅い。

 女優さんでも年を取ると太り顔かたちが見難く崩れる。その体形は精神にも影響を及ぼすのか、離婚会見では優しい雰囲気は微塵も見られないような女優もいる。

 この状態はどうすれば解消できるのか。あるいはどう足掻いても抜け出せないのか、人生の悲哀を感じること請け合いだ。

 私の知り合いにもそんな夫婦がいるのはもちろんだ。妻は我儘放題。夫が稼いできた金を遊蕩に使いまくる。グルメだ、旅行だ、やれ歌舞伎だと遊んでいるばかり、それなのに夫に対する感謝の念は毛頭ない。

 男性は我慢を強いられて、何十年。もうぼちぼち冥途からお迎えが来そうな年齢に達した。これが民話になるとどうなるのか。妻の考え、行動に夫は苦虫を噛み潰すような顔を妻に向ける。

 もちろんそんな女性と付き合う男性は出て来ない。夫も病気がちだから、女性とは縁遠い。病気になっても看病をしてくれるのは娘であって、妻ではない。妻に取って夫はもう魅力のない男、看護より遊蕩に時間を使う。

 実生活をテーマにすれば簡単に民話が作れそうだ。だとすれば民話は実話ではないかと勘ぐる。王様に嫁いだ優しい女性は回りに辛く当たられる。生まれた息子はろくでもない女性を妻にしてその王子を悩ませる。どこかで聞いたような話しである。

酒巻 修平

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