トランプ/ジョンソンと他国の政治家の違い
政治の要諦は経済と軍備であろう。実際の戦争になれば戦略は単純ではないが、軍備を拡大するのは難しくない。
もちろん優秀で他の追随を許さないような武器を製作することも大切ではあるが、それは政治の目的ではなく、企業の仕事である。
もちろん軍備に金を掛ければ掛けるほど戦争になった時に有利であり、相手国はその状態を考え戦争を仕掛けない、所謂抑止効果がある。
だが軍備には経済状態を勘案しなければならない。巨大な費用を掛ければ国の経済を圧迫する。そうして崩壊したのが旧ソ連であった。
と考えると政治の一番大切なことは経済であるとも言える。効率的な外交をするにも金が掛かる。それも経済に余裕がなければできないことだ。
日本ではバブル崩壊後亡くなった20年とも30年とも言われるがこれは経済政策の失策が原因で引き起こされた。
貧困な人の対策はもちろん必要だが、その人たちを救済するにも金が掛かる。その金は裕福な人や企業から集めなければならない。
イギリスの元首相のサッチャーが言った言葉は的を得ている。貧乏人をリッチにするより金持ちをよりリッチにする方が簡単だと。
貧乏であることは罪悪ではないが、極端な貧乏は生きて行くことができない。そういう人を助けるために金持ちはより多くの税金を支払ってもらいたい。
利潤というのは一種の詐欺行為だ。10000万円で仕入れたものを12000円で売る。もちろん輸送コストなども掛かるが、2000円も掛らない。
そんな詐欺行為まがいのことをできない正直な人は会社を経営しても成功しない。だがビジネスとはそういうものだ。
政治家は自分でビジネスをやったことがない人がほとんどだ。安倍首相もやっていない。そこに政治家の欠点がある。
中国が如何に巨大な軍備を誇ってもそれを使う大義名分がない。アメリカもそうだ。そこでトランプは中国を経済戦争に持ち込んだ。
習近平はビジネスの経験がない。片やトランプは経験が豊富だ。経済戦争では習に勝ち目はない。
トランプは中国の経済を熟知していて、それを突いてくる。中国は防戦一方だ。もうすぐ中国は根を上げるだろう。
さてトランプはビジネスマンとして会社や経済が無限に発展するなどとは夢想もしない。
トヨタも日本では自動車の販売は増加していない。やがてアフリカでも市場は枯渇するだろう。その時トヨタはどのような政策を取るのだろうか。
日本のようにローン利息で収益を確保するのだろうか。他のビジネスを開発するのだろうか。しかし新しいビジネスはそんなにあるわけではない。
トヨタは1960年代から新事業を模索していた。しかしできたのはトヨタホームだけだ。
大きな会社になればなるほど新規事業の発掘は難しくなる。国家単位で考えると至難の業だ。
政府は最近観光業に力を入れている。しかし観光客が増えすぎると市民生活に支障が起こる。京都では観光客を忌み嫌う。
パリでもそうだ。住民は観光客だらけのシャンゼリゼには近寄らない。ローマ、フィレンツェなどもそうだ。
いずれ世界経済は現状維持に近くなるだろう。アメリカは国土が大きく、国内需要が大きいから一国だけでやっていける。イギリスは国内需要がアメリカほどではないが、ジョンソンはグローバリズムに反対だ。
グローバリゼーション下では弱肉強食の世界が現出する。日本は工業力が際立って優秀だから製品などを輸出して伸びしろがあるだろう。しかし日本は世界では例外的な国だ。中国や韓国が日本の真似をしても無理だろう。
その日本も製品などの売先がやがてなくなる。その時には修理、買い替え、交換などの需要だけになる。
その時インドネシア、ベトナム、中国、韓国、など技術のない国はどのような経済状態になるだろうか。アメリカは自国がそうなるのを怖れている。ジョンソンもそうだ。
酒巻 修平