健康を維持する体の能力を過小評価していないか

 空気中には病原菌が蔓延していて、一度外出するとどのように注意してもそれらを吸い込む。帰宅すると口内や手に付いたそれらの菌を除去するために手洗いをし、嗽をする。

 だがそれで風邪など引かないようにできるのだろうか。菌は既に鼻腔、肺、皮膚に付着して活動を初めているはずだ。いや外出しなくても自分や家族が持ち込んだ菌が室内を漂い、家具、バスタオル、テレビなど其処ら彼処に生息しているのだ。

 それは除去しようがない。嗽をすると口内の菌は相当除去できるが、全てを殺すことはできないし、菌が一番付着している鼻腔には嗽をしても水が通らない。まして肺に入り込んだ菌を消去するのは不可能だ。

 それでは人は外出する度に風邪を引くのか。そうではないだろう。多い人で,3か月に一度くらいの筈だ。どうしてそうなるのか。それは人の体の防御システムが働いているからだ。

 それを免疫機能というのは誰でも知っている。ところでマラソン選手はどうしてあんなに早く長距離を走れるのだろうか。それは筋肉や心肺機能を訓練で強化しているからだ。

 人の体は努力によって強化することができる。免疫機能も同様だ。出来るだけ免疫機能を働かせることで強化される。これは筋肉を働かせて強化するのと同じ作業である。

 外出して嗽をし、手洗いをすると基本的に体をより清潔に保てる。だから免疫作用はその分働かなくて良い。もちろん上記のように体の中に入り込んだ風邪菌はまだ潜んでいるが、免疫機能が全力で働かねばならないほどではなくなる。

 だがもし手洗いや嗽をしなければどうだろうか。免疫機能は一所懸命働かないとならない。こうして免疫機能の訓練の度合に違いが出る。当然できるだけ働かせた方が免疫機能は強化されて同一の菌を寄せ付けることは少なくなるだろう。

 嗽や手洗いは免疫機能の強化をすることを邪魔するのだ。外出から帰ると子供の手をアルコールなどで消毒する母親が多いが、これでは子供の体が清潔になり過ぎて免疫機能が低下して、すぐに風邪を引く。但しそうしないと気持ちが悪いがそれは別の問題だ。

 こうしてお母さんたちは脆弱な子供を作ってしまう。外に出て遊ぶ習慣がない子供は太陽光線に対する抵抗力が育たないから夏すぐに熱中症に罹ってしまう。相当な老齢になるとまた話は別だが、熱中症多発の原因は日本の都市部の温度が昔と比べて高いことではない。

 私はまだそれほど高齢ではないので、多分熱中症にはならないと思う。子供のころは道路で遊び、どぶ川で水遊びをした。太陽には抵抗力が付いている。

つからかなった。これは余り物を考えない主婦の発想だが、昔、食料品は食べられるかどうか匂いを嗅いで判断したものだ。

 それが今は防腐剤を入れ賞味期限を延ばしている。すると人には鼻が存在する理由は健康を守るという意味では価値がなくなる。舌は美味しいかどうか人に教える。美味しいものが体に良いからだ。

 最近は禁煙率が大きく上昇した。だが肺癌の罹患率も急激に上昇している。もし喫煙が肺癌の大きな原因になるのなら、肺癌は少なくなるはずだ。ところがそれらは反比例している。

 人の体は毎日何百もの癌細胞を生み出している。癌細胞は自己死(アポトーシス)しないから生き続け、増え続ける。だが免疫作用はそうはさせない。生成された癌細胞は自己の細胞だから免疫で殺すことが難しいが、免疫機構は頑張っている。難しいが殺すのだ。

 癌細胞は正常細胞ではないから体に悪影響を及ぼし、殺さないと人の本体が死に至る。ところが正常細胞との僅かな違いを判別して免疫機構は癌を消滅させるのだ。ところが禁煙することによって免疫があまり働かなくても良くなったから、免疫の能力が低下した。禁煙することが肺癌の発症率を上げたと考えている生理学者は多い。

 人の体はほとんどがウイルスでできているという論がある。免疫機構は絶えず戦い、戦闘力を向上させているのだ。軍隊も戦争をしないと戦闘力が落ちるので、絶えず演習を行っている。禁煙は免疫機構にその訓練をさせないのだ。

酒巻 修平

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