日本人とアメリカ人はどちらが裕福か

 1989年に制作されたハリウッドの映画「アイリスへの手紙」という映画をDVDで観た。なかなかの良作で心を打つものがあった。

 この映画のシーンで主役のロバートデニーロが自転車に乗り、もう一人の主役、ジェーンフォンダがバスで通勤する場面がある。

 自転車に乗って通勤するデニーロは便利だし近いから自転車で通勤しているのではない。ある程度無理して自転車を買って節約のために通勤していたのだ。ある日バスに乗って通勤するジェーンフォンダを自転車の後ろに乗せて家まで送ってやる。

 これを見ると二人の工場労働者がどのような経済状態にあったのか良く分かる。アメリカでは自動車の普及を目論んだジェネラルモーターが鉄道を買い占めてほぼ全ての路線を廃止してしまった。

 日本はどうか。1989年は経済的にはバブルの真っ最中で、誰もが金持ちになった気持ちでいた。

 そんなバブルの現象を脇に置いたとしても貧困を理由に自転車やバスで通勤する人は少なかった。すなわち平均的には日本人の労働者はアメリカ人労働者より裕福だったのだ。

 1989年のアメリカのGDPは5兆6000億ドル、日本は3兆ドル程度。日本はバブル期であったが、アメリカの経済規模はいつでも日本を遥に凌駕している。

 それにも関わらず日本国民の平均的な暮らしがアメリカより経済的に豊かなのは何故だろうか。アメリカの物価は日本ほり相当低いのに。

 それは簡単だ。アメリカの1%の人がアメリカの全資産の40%を保有しているからだ。日本では現在1%の人が10%を保有している。

 この現象はアメリカでは超金持ちがいて、金が下まで回ってこないことを示している。

 その元の原因は金を金で増やすのが巧みな人がいるからだ。金は元々物々交換の不便さを解消する手段であったはずだが、経済現象が変化して金は商品にもなった。

 今やアメリカの金持ちはアメリカの政策もコントロールする。軍備を拡大するのは金を持っている人がもっと金が欲しいからに他ならない。

 日本はまだましだから金がある程度下まで回ってくる。だがそれもいつまで続くか分からない。

 日本の道徳は敗戦以来下がり続けている。自分だけが金を独占するのは良くないと考える人が少なくなっているのだ。

 そういう状況を考えると日本の平均的な人の収入は下がり、アメリカ並みになることが考えられる。

 そうなれば日本人には豊かだと考える人は少なくなる一方だろう。老齢年金も少なくする政策が進んでいる。

 アメリカ同様日本も豊かな国ではなくなる。そしてその風潮は全世界に飛び火するだろう。世界は一部の超金持ちと残りの貧乏な人による社会になる。

 トランプ大統領が憂慮しているのがこの状態だ。彼はどの程度誠実な人物か知らないが、もし彼がまともな精神の持ち主であればそんな状態は阻止し、解体したい。

 ここにもう一つ状況がある。それは超金持ちが持っているのが会社の株、それからの上がり、銀行預金だ。

 銀行は今や斜陽産業だ。新しく大きい産業が生れない現在、銀行の融資を得たいと考えている企業は少ない。

 超金持ちたちはそんな状況の変化にどのような作戦を立てているか分からないが、世界の貧困を解消するにはそのような一部の超金持ちを失くすことだ。

 しかし企業も一部社員に大きな給与を与えている。それを失くすのが社会主義や共産主義だ。だが中国や他の国にある共産主義は単なる独裁主義で共産主義ではないことは覚えておかなければならない。

 社会主義に近い状況はかつて日本の大企業に存在した状況である。その状態は好ましいものだったが、そんな状態はなくなってしまった。

酒巻 修平

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