脳は何をしているのか

 生物には脳か脳に代わる器官があり、基本的に子孫を残すための作用をしているだろう。

 人の脳は他の生物とは違って極めて発達している。本来の機能とは別に脳そのものを体の一部として動かしていると考えられる。

 その脳の機能はどこから来たのだろうか。思考や創造、記憶はどのようになされるのか、まだ解明されていない。

 それはあまりに複雑で実験する方法を見つけるのも難しい。だが考察してその一部にアプローチすることは可能だろう。

 人や他の生物は自然に発生することはない。必ず親がいるはずだ。そうでなければ生物が生れる度に生命が自然発生していることになってしまう。

 親は自分の遺伝子を子に伝えていくだろう。ということは遺伝子から出来上がってくる体は親の性質を受け継いでいる。

 その受け継いでいるものは脳にもあるだろう。そして脳が作用をするのは親から受け継いだ方式が採用されるのは当然の帰結だ。

 脳は親から受け継いだ(どちらの親のものかは決定されていないだろう)作用方式に基づき作用をする。

 一番大切なのは生を保つ方法だ。それは子孫をもうけるまで体の生を保たなければならないからだ。

 生物が充分成熟すると子孫を残す本能と呼ばれる作業を行う。そのためにはは自己を防御し、維持しなければならない。

 その方法や方式は親やその先祖から延々と受け継がれてきた情報による。それをプリオリと呼んだのはエマヌエル・カントで、「純粋理性批判」という書物に見られる。

 カントはもう300年も前の人で、そのころはコンピューターもなかったので、それを参考にもできなかった。それでも複雑な脳の機能を解明しようとした事績には大いなる敬服を感じる。

 プリオリは脳に関する部分だけではなく、体のあらゆる部分に同様に仕込まれているだろう。だから肺、心臓、肝臓、胃、胆嚢、脾臓、膀胱、生殖器、腸、筋肉、皮膚、目、口、耳、鼻、喉などあらゆる器官が所定通りの作業を滞りなく行う。

 脳には美を感じ、悲しみ、悦び、寂寥、疎外感など感情を司る部分がある。それがカントの言うプリオリだ。基本的なプリオリはその人独特のもので、そこに人それぞれの経験や考えなどが加重され人柄が形成されていく。

 それは絶えず繰り返されているので、人は毎秒、毎分、毎時間、毎日変化しているのだ。

 最も大切なのは情報だ。コンピューターは人により情報をインプットされなければ動くことさえできない。AIが人を超えられないのはそういう理由だ。

 人は目や耳などで情報を自分の感性で集め、それを保存している。保存は長く継続し、その情報を使って脳は思考をし、創造を行う。

 思考や創造は元となる情報がなくてはできない。その集積は人の個性から出発するもので人それぞれ違う結果を得るだろう。

 情報は只のデータで、その処理が必要なのを脳は知っている。人は美を目と耳で求め、体に良いものかどうかの判断は鼻と舌から集められた情報を脳が行う。

 だから脳に不具合が生じると危険だ。直接生命に関する対応ができなくなってしまうし、病気はすぐに体を蝕むだろう。

 病気は脳の不具合が直接間接に関わっているだろう。だがその生命科学的アプローチはされていないので、原子的、分子的あるいは量子的解明はされることがない。

  体はデジタル/アナログの相互作用により制御されているが、その研究が全くされないのはどういうわけだろう。

酒巻 修平

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