テノール世界的大歌手 比較

 私はテノールを歌っているから男性歌手の比較しかできない。現在のテノールはパバロッティ亡き後、カレーラスやドミンゴも声が落ちたし、だんだん素晴らしいテノールはいなくなってきた。

 その中でジョナス・カーフマンは世界一流のテノールの一人として有名だ。だが歴代1とは言えない。その名はエンリーコ・カルーソーに譲らなければならない。

 その二人の歌手に付いてどうしてカーフマンが歴代1ではないのか、エンリーコ・カルーソーと比較し、分析をしてみたい。

1.カーフマン

声帯が充分に下がっていない。従って胸の響きに欠け、迫力がない。

胸の響きがなく、主として女性が使う頭声を使う

ビブラートがある。これには異論があるがレガートに歌う妨げになる

声のアタックは声帯辺りにあると思われるがはっきりしない

2.エンリーコ・カルーソー

歴代,を争うテノール

声帯は充分に下がり、音が極めて安定している。

主として胸の響きを利用して声を遠くに飛ばす

高い声も胸の響きを失わず、非常に輝かしい声を出す

音は喉の奥(下部)にアタックしている

ビブラートは一部を除いてない

参考までにアジアの歌手の発声に関する意見も述べよう。中国や韓国にはやや優れた歌手もいるが、イタリアやスペインの歌手と比較するとやはりレベルは落ちる。

喉が下がっていず、胸の響きはない。高い声は頭声を使い、これでは女性の歌手の発声になって、男性的な特徴がない。これは日ごろの話し方の特徴からくる欠点と思われる。

最近のテノールは相当優秀な歌手でも喉が下がらなくなった。ホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴもパバロッティほど喉がきっちりと下がっていないので、声の芯とクリアーさが亡くなった。

声帯を下げるという発声法は賛成する人が多いが、胸声やビブラートに関しては異論もある。喉をきっちりと下げ、胸声を使い、ビブラートはしないように発声しなければならない。

因みにカルーソーもビブラートをしている部分は声がやや良質ではなく、輝きが足りない。テノールではないが、ロシアのバス歌手(この人もバス歌手としては歴代1の優秀な歌手である)のフェオドール・シャリアピンも全くビブラートをせずに偉大な声で歌う。

ここで歴代の歌手の発声の特徴を書いてみよう。発声法が良ければ良いほど、声は偉大で美しい。

ベニミーノ・ジーリ

 喉は完全に下がり、声は美しい。アタックも喉の奥の方でしているので軽い声 

 であるに関わらず、奥行きがある。ただビブラートがアクートをした後の高音  

 で見られ、そんな声に軽い不満を感じる。

ディ・ステーファノ

 喉は下がっている。だが息のアタックの位置は高い。だから奥行に不足があ

る。ビブラートもあり、古今東西No.1とは言えない。

ルチアーノ・パバロッティ

 持ち声は極めて良い。ただステファーノと同様、息のアタックの位置は高く、

胸声のドラマティズムがない。ビブラートもある。

ホセ・カレーラス

 喉も下がりきっていない。若い時はそれでもかなり聞けた。

フランチェスコ・タマーニョ

 カルーソーをテノリーノ(小さい声のテノール)と呼んだくらいだから、ドラ

マティックな声を出す。ビブラートが激しくそれが耳触りだ。だが残っ

ているのは引退後の録音でその点は割引して考えなければならない。

歴代1の条件は

①喉がきっちり下りていること

②息のアタックの位置が喉の下の方であること

③従って胸の響きが大きいこと

④ビブラートをしないこと

もうカルーソーのような歌手は出て来ないと言われているが、上記の発声法則を実行できる歌手は必ず現れると信じたい。

酒巻 修平

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