血圧の怪

 私は人の体がどのように動いているのか、制御されているのかとても興味がある。でもそれを実験して知ることは難しい。

 だからできることは自分の体を実験台にして少しは解明しようとしている。体温を一日10回も図ったことがあるし、病院などへ行くと備え付けの血圧計で測定する。

 体温には呆れる。朝起きた時、運動後、風呂の後、食前、食後、興奮した時、冷静な時、どうも体温は体のイベントとは何の関係もなく、上下するようだ。

 低い時はだいたい35.9度くらいで、高い時は36.5度か。だいたい朝は低いがそれでも図る度に変動する。運動してもその体の行為が体温に直接反映されるわけではなさそうだ。

 だから諦めてもう最近では測定を止めた。体温が高くても低くても自分の範囲内であれば、体には何の変化もないから、実験する面白さがない。

 今度は血圧だ。これは体温以上に敏感に変動する。医師に測られると所謂白衣高血圧というやつで170を超える時もあるし、高血圧は怖いと思って自分で測っていると220にもなったことがある。

 若いころ人間ドックで検査をずっとしていた。その時はやはり白衣高血圧で176とか計測値が出て、検査技師の女性が「高血圧ですね。再検査をしましょう」というので、呆れてしまった。

 その女性は医師ではないので、人の体を診断するのは違法であるばかりでなく、高血圧の定義、ありようを全く知らない。

 それが元で馬鹿らしくなって健康診断会社で健康診断をすることは止めた。彼らは体のどこかが悪いと言って引っかけ、再診に持ち込まないとさらなる金儲けができないから、何とか悪いところを探したいのだ。

 それから30年。血圧は変わらないし、とても元気だ。持病は治るわけがないが、回りの誰もが元気だと言ってくれるから、元気なのだろうと信じている。

 だいたい冷暖房がない時代、冬は寒くて血管が縮み固くなるから血圧は上昇する。それが夏になると血管は緩み低下するので、一年を通してみると血管は上手く運動をし、同時に保護されているのだ。

 内科医に行くと必ず聞くことがある。血圧とは英語でなんと言うのか。私は嫌な性格をしているが、体を任せる医師を選ぶ権利があるからそんなことを聞くのだ。

 正解は「hyper tension」である。「hyper」は極めて高いという意味で、「tension」は張力くらいのことを指す。すなわち血圧が高いということは米英では極めて高い張力のことだ。極めて高いということは130くらいではない。

 ちなみに血圧という英語の訳語は不正確だ。血に圧力があるわけではなく、血液が血管を通過する時に血管を押す張力を測定しているのだ。だから血圧ではなくて、血液張力くらいの言葉を使わなくてはならない。

血が濃い人は当然ある程度普通の人よりtensionが高いし、風呂に入ると血管が膨張してこの時もtensionは低くなる。

 今はもう一回の測定で170くらいになっても高血圧だと言う医師はほとんどいない。でもそんなことを言う医師がいればすぐに医師を変えた方が良い。

 高血圧とは極めて高い血圧が常時続いていて下がらない状態のことで、気持ちが緊張していない時に何気なく測ると低くなっていれば高血圧なんかではない。絶えず200を超えて下がらない血圧の人こそ高血圧なのだ。

 ただ冷静時の血圧を知るのは簡単ではない。血圧を測るというだけで冷静ではなくなる人が多いからだ。

 因みに重量挙げの選手が競技、すなわちバーベルを上げる時には血圧は400から800になると聞いたことがある。彼らは若くて血管が強いから800でもびくともしない。

 いつも重いものを持っている人は血管が鍛えられて血圧が高くても問題がない可能性が高い。

 だから血圧が高くて血管が切れるなどのことは人それぞれ違う。あるいは150くらいで切れる人もいるかも知れない。多分そんな人は極めて稀だろうが、言いたいことは高血圧が体に悪影響を起こすかどうかは個人差があるということだ。

 だからコマーシャルで血圧が130を超えるとこのサプリメントを飲めと宣伝している会社があるが、そんな会社は一切信用してはならない。130台は正常血圧なのだ。

 私の血圧は常時変動している。長く掛かっている信用のおける医師が測定すると125くらいの数値が出るが、信用できそうにない医師ではそれが175とかになる。そうなると測り直しになるが、「もう良い私の血圧は125くらいから220くらいまで変動する」と言って断る。

酒巻 修平

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です