菅新総理を占う

菅新総理の目玉政策の中に「デジタル庁を創設する」というのがあった。振り返ると安倍前総理が第二次安倍内閣を組閣した時に「コンピュー省を作ったらどうか」を提案した。

安倍氏はその後IT相という職掌を設け、私の提案に沿った政策に一歩踏み出したと思われた。氏は多分私の提案に乗ったものではなかったろうが、時代の趨勢でそのような政策を打ち出したとのだと思う。

IT相になった人物はコンピューター関係の能力を持ち合わせてなかったので、この政策は機能しなかったが、少なくても安倍氏の時代を見る目は確かめられた。

菅新総理はその政策の骨子を受け継ぎ、コンピューターが時代をどのように変革するのかという命題を掲げてこの政策を推進すると期待した。

だが報道によるとそれはコンピューターを利用した各種サービスなどを増強するもので、コンピューターそのものが社会にどのような影響を及ぼすかということではなかった。

これはがっかりだった。新首相には前総理と違う面を期待していたのだが、全く的外れであった。

で、菅氏の組閣や行動、演説に注目するとこの新総理の手腕や考え方がある程度読めてきた。

コンピューターには功罪種々あり、社会に大きい影響を及ぼす。一例を上げればハッキングという手法を使った犯罪の発生、コンピューターに頼り過ぎた所為での思考停止、大作業や過重労働の代替、時間短縮、などが上げられる。

そんな根本的な観点でのデジタル庁ではなかったのだ。これから世界はますますコンピューターの影響を受ける。それに対する抜本的な政策ではなかった。ただ小手先のコンピューターの使用法を増強するだけで、何ら役に立たない。この政策がなくても民間はコンピューターの使用範囲を広げるのは目に見えている。

菅氏はまた外交に対する手腕が未知数であるとして、前安倍首相の力を借りるということもやるようだ。

デジタル庁は小手先政策、外交は前首相頼み、これでは首相としての政策はないに等しい。演説内容は無難でそつがないが、新しさに欠け、目まぐるしく変化する世界情勢に合わせて国を引っ張っていく能力があるのかどうか疑わしい。

安倍前首相は三本の矢という大胆な政策を掲げそれを推進していって一定の効果はあった。財政政策と金融政策の推進により株価は大幅に上昇した。

だが二つの政策の実行は意思さえあれば簡単に実行でき、効果が期待できる。それほど民主党の政策が拙かったので安倍氏はその点、得をした格好だ。

だが三番目の矢の実行は極めた難しい。それは成長戦略でこれには新しいビジネスの創設を含む民間の努力とその成果を後押しする政策である。だが安倍氏はそれをできなかった。

日本でも車、家電、住宅、通信、などの発達で経済は大きく飛躍した。だがそれらが一段落すると日本経済の成長は低迷した。

活路を求めたのは観光であったが、それは上記の内需と比べて極めて小さい数字しかもたらさない。そこへ来てコロナの流行である。

安倍氏は行き詰まり、病気でもないのに、引退してしまった。後を継いだのが菅新総理である。だが安倍氏ほどの手腕をもたない菅氏はこれから大きな障害にぶつかるか、無難な政策に終始するだろう。

国際社会は複雑化し、混沌としている。先進国の経済成長率は日本同様低迷するだろう。そしてそれを推進するのは発展途上国という名の未開国だけだ。

かつて未開国だった中国の経済もまた行き詰まり、今や先進国はその製品の売り場所を失くしてしまった。中国に代わる発展途上国はベトナムやインドネシアなどであるが、それらの国の物価が上がれば世界経済はまた次の下請け国である発展途上国を探してさまよい歩くだろう。

そうして発展途上国がなくなった時、世界はどこにいくのか、その政策が分からない。新しくそして経済発展がなくなった世界での経済理論もない今、どのように政策立案者は国を引っ張っていくのか、先は闇であろう。

こんな時に首相になったのが、菅氏だ。だがパンチ力と新しい政策に対する脳の柔軟性を持たないようにみえる菅氏はどのように政策を立案し、実行していくのか先は闇だ。

安倍氏の残した三本目の矢などは忘れ去られるだろう。本当にやらなければならないのはこの成長戦略であるが、両首相とも経済に付いては深い知識があるとは思えない。

多分短い期間で菅氏は退くだろう。それでも彼個人に取っては良いことだ。首相経験者という肩書が付く。

コロナの流行により経済は縮小した。それは盛り返しつつあるが、本当の意味の成長とはそんなものではない。

とりあえずインフラの輸出くらいが日本の経済を牽引すると思われるが先進国はもうある程度のインフラ整備を終わっている。それを購入する国は発展途上国だが、購入する資金がなくてはならない。

資金は低賃金での下請けで稼げるが、ある程度発展すると賃金の上昇を見るだろう。そうすれば先進国は賃金の低い国を求めてまたさまよう。

そんな中菅氏は日本という先進大国を引っ張っていく。彼には過酷過ぎないか。能力があるだろうか。私はないと見た。それではそんなことをできる政治家は誰だろうか。

酒巻 修平

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