イスラエル/UAE あるパキスタン人の呟き

今年の大ニュースと言えばやはりコロナであるが、世界政治で見ると忘れてはならない極めて大きいニュースがある。

それはイスラエルとUAE、バーレーンの国交樹立である。この三国は首脳によって合意文書にも署名した。

日本から相当遠い国々でもあるし、宗教上の問題などに関心がない日本人には他山の石であろうが、極東の問題よりも国際上の関心は高い。

これらの国の宗教はキリスト教、イスラム教、そしてユダヤ教が入り乱れて複雑な政治形態をなし、人々の感情にもそんな宗教上の問題が絡んでくる。

イスラエルは以前からアラブとは敵対関係にあり、その建国の経緯も国際的に認められたものではなかった。

従ってイスラエルという国家は全ての国が承認しているわけではない。現イスラエルはパレスティナを代表するアラブ諸国との間では闘争が絶えない。

だがアラブ各国も宗教上違いなどから一枚版ではなく、UAEなどとイランは仲が悪い。こういう情勢を踏まえてアメリカのトランプはイスラエルとUAEが手をむすぶ仲介をしたのだ。敵の敵は味方という理解の仕方もある。

これはアメリカの大統領選を優位に進めようというトランプの思惑そのものであるが、国際的な意味合いも深い。トランプはノーベル平和賞の候補として名が上がった。

イランは共産主義を標榜しているが、それに反してアラブ諸国は民主主義国家である。多くの点で利害が一致しない。

イスラエルが国家となったが、長く敵対するパレスティナは黙っていない。もちろんイスラエルを国家とは認めず領土関係でも絶えず戦争を繰り広げている。

イスラエルは誰もが認める国家ではない。パレスティナもある地域を実効支配しているだけの地域でしかない。いわば両陣営は国を持たない地域とも言える。

もしイスラエルとパレスティナが互いを国と認めて手を結ぶなら、本当の意味の平和もやってくるだろうが、両国にそのような兆しは今のところない。

そしてパキスタンも微妙に関係してくる。パキスタンの正式名称をパキスタン・イスラム共和国というくらいだからこの国もアラブ側に立っている。

パキスタンは中国、イランと仲が良い。すなわちイスラエルとはしっくりといっていない。だがもしパキスタンをイスラエル/UAE同盟に加わらせることができれば情勢は大きく変わるだろう。

だがアメリカの大統領選挙は11月だ。パキスタン、パレスティナをイスラエル/UAE同盟に加わらせるほどの時間はもうないし、トランプは国際政治に大きな役割を果たしたと選挙人は考えているだろう。

パキスタンを中国、イランから引きはがすことは極めて難しいし大きな犠牲も払わなければならない。

だからトランプは今沢山の案件の中から大きくそして選挙に影響を与える事項について力点を移すと考えられる。

結局イスラエル/UAE同盟に参加する国はイランとある意味敵対する国だけだ。イスラエルとアラブ諸国が完全に平和裡にことを勧める状況はまだ生まれていない。

もう一つ大きな問題がある。イスラエルとUAEなどが手を結んだと言ってもそれは政治的な意味合いでしかない。本当に両者が友好的になるには国民もそうならなくてはならない。

過激な考えを持ち行動するアラブ人たちは政治家がそのように先走ったとしても納得していない。そのうち大きなデモも起こりそうな気配だ。

現にパレスティナでは大規模なデモが起こっている。それは政治的にイスラエルと手を結ぶのを前以て阻止する役目を果たすだろう。

イスラエル/UAEの仲直りはアメリカ大統領選挙のためでしかない。そして中国など利害関係にある国以外日本などアジアの国は関心が極めて薄い。私の友人のパキスタン人のバットさんはそのように呟き、吐き捨てた。

酒巻 修平

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