経営 - 商品仕入れ-アメリカ人の手軽さ

私がアメリカに商品仕入れの拠点を持ったことは昨日書きました。今日はアメリカ人がいかにものに拘らないか、手軽であるかについて思い出してみます。

ジェームス・ジョンソンの会社は沢山商品を買う私に何くれと便宜を図ってくれて、会社の事務所と電話を無償提供してくれたのです。

そこで私はジェームスに誰かアメリカで色々なものを仕入れる手伝いをしてくれる人がいないか尋ねました。

紹介されたのは今でも忘れないDenis Dirという男で、慎重190cmくらいの大男でした。このDenisは大男でしたが、気は取っても優しくて親切でこの人のお蔭でアメリカにおける商品の仕入れは進んでいきました。

何しろアメリカは「money oriented」(お金で何でも換算する)の国。値段がとてもこなれているのです。

今は日本の方が何故か安いのですが、シーバス・リーガルなど当時の日本円で4,5000円でした。日本では10,000円で、高級なウイスキーの部類に入っていました。

どうして日本では商品の値段がそんなに高いか考えたことがあります。結果多分日本人は一所懸命値段を安くする努力をしないということです。

大阪人は値切ると言いますが、仕入れ値が高いので、値切ると売り手の利益を損なってしまいます。これでは売り手買い手がお互いにハッピーということになりません。

アメリカ人は値切りには基本的に応じません。会社で買い先の値段交渉をOKとしているところは別ですが、そうでなければ値切っても笑うだけです。

もちろん大量の買い付けでは買い手の態度や政策を考え、値切るという行為ではなく、相手の作戦に応じるという態度を示します。

これはアメリカ人の正直さから来ているようです。日本では値切られることを前提にして提示して値段は吹っ掛けてあります。

昔からそうで大阪人は値切りをせずにものを買うということに疑問を感じているのです。

私はいち早くこのアメリカ人の気性を読みましたので、値切り行為を一切行いませんでした。

郷に入っては郷に従えという言葉(英語では「Do in Rome as Romans do」)を念頭にアメリカの風習を尊重しました。

そんな態度に気を良くしたのか、アメリカ人との交渉はこちら優位に進みました。

さてDenis は一冊の分厚いファイルを私に見せてくれました。それは10㎝近くある「Buyers’ Guide」と言うもので、多数のメーカーがそこに掲載されていました。

当時日本の仕入れ担当の人もそんなものを持っていなかったと思います。それでそのガイドを頼りに商品を仕入れようとしたのです。

会社に取っては扱い商品に入っていないものが数多くあり、私は涎が出る思いをしました。

そこで私は日本に輸入すれば絶対に売れると思われた商品を発掘したのです。そことのコンタクトはDenisに頼もうとも思いましたが、それではいつまで経ってもおんぶにだっこです。

当時私の英語はまだ拙いもので、英語の会話には自信がなかったのですが、思い切ってメーカーに電話を掛けてみました。

出て来たのが営業部長か何かだと思いますが、私は「I want to buy from you」という簡単な英語を先ず口にしました。

すると相手の応えは「I want to sell to you」で、私の英語を一種のジョークと取ったようです。相手もジョークで返したと思います。

私の英語と相手の英語は「buy from」と「sell to」しか違いがありません。私の英語だけでは何を買いたいのかということは相手には分からなかったでしょう。そんなことを最初に言う人間はいません。

これは私の拙い英語が成せる業で、却ってこれが功を奏した形です。それに付け込んだ私は次に「if so, I will come to your location」と言ってやりました。

相手はそこで少し考えましたが、もうジョークにしてもお前に売りたいと言ったので、前言を引っ込めるわけにはいきません。

そこで相手は「OK, when」と言うので、「Today」というと相手はこれにも驚いたようです。しかし私が飛行機の時間をDenisに調べてもらい、到着時間を告げると相手はやっと私が真剣だということが分かったようです。

到着時間は夕方7時ころ。アメリカでは国内に時差があるのでここは気を付けなければなりません。すぐに飛び立ちました。

飛行場は小さいもので、私の乗った小型飛行機は揺れながら着陸して建物の傍に到着しました。

私がタラップから降りると相手の人は大げさに驚いて、手を少し広げて背の小さなアジア人を出迎えました。

なんとも手軽な感じでしたが、その後相手とは長く取引を続けました。もちろん珍しさも手伝って初めての日本旅行として我が社にも来てくれました。

相手は日本がそんなに文明国だとは知らなかったようで、私が最初から自信たっぷりに交渉をしたのだと誤解しました。

ですが普通の日本人はもっと謙虚です。私をいつまでも誤解して、そのお陰で美味しい汁を吸わせてもらったというわけです。

酒巻 修平

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