経験遺産

 世界で文化が始まって以来人は大きな災害やまた自然による恩恵を受けてきた。これらは後の世代に受け継いでいくものである。

 古くはナイル川の氾濫が肥沃な土地を残し、人はその土地からの恵みをもらって大いなる恩恵を受けた。

 逆に自然災害が真の原因だとされるゲルマン民族の大移動は周辺の地域に大きな悪災や文化の交流をもたらした。

 日本でも江戸の三大改革の最初である享保の改革は後の政治の手本になるはずだった。

 この改革は良い点もあるが政府の倹約政策により市民の経済は疲弊した。その教訓は生かされず、寛政、天保の改革でも過度に贅沢を禁止し、市民は塗炭の苦しみを味わった。

 これから西方よりイナゴの大群が中国にやってくると予想される。イナゴは農作物を食い尽くし食糧がなくなると別の場所に移動し、そこがまた大被害を受けることになる。

 干ばつも時々起こり、北朝鮮では大勢の人が飢え死にした。江戸期には米が凶作になり、親は娘を金で売って凌ぐような不幸が襲った。

 地震は年中どこかの国で発生し、我が国での東日本大震災による放射能の漏出はいまだに解決していない。

 人は毎年起こるような災害に対しては対策を講じ、政府も援助の準備をしてある。だが10年に一度かあるいは時にしか起こらない災害にはほぼ無力である。

 どうしてであろうか東日本大震災で原子力発電所が被害を受けたことは記憶に新しい。その時には政府や東京電力が想定外の大災害だったのでと責任を回避した。

 この態度は予期しない災害が発生した時、防げる被害を放置する結果になるのだ。東日本大震災の時の津波について文献を調べると過去にはもっと高い津波が押し寄せてきたことが分かる。そしてこの地域には平均20年に一度大きな地震が発生している。

 その経験は記憶されていたし、それを基に対策を建てられたはずだ。頑丈で50メートルの津波をも防げる防波堤を築くなどしていれば、あの放射能漏れは防げたはずだ。

 バブルの崩壊もそうだ。江戸期の緊縮財政に関しては文献も沢山残っているし、それがいかに経済にダメージを与えるか分かっていたはずだ。

 それがバブル崩壊時に急に緊縮財政を取り、それからの日本は失われた30年として世界第2位の経済大国の座を中国に明け渡した。もっともこれはアメリカとの政治闘争に敗れたからだからだが。

 経済力に慢心してアメリカの象徴であるエンパイアーステートビルを買収するなどアメリカ人の自尊心を傷つける行為は褒められたものではない。

 自尊心は慢心となって節度がなくなる政策を取る。今の中国がそうだ。中国や韓国は世界の嫌われ者になって、国力は大きく衰退するだろう。

 こんなことも歴史を紐解けばすぐに分ることだ。ヒットラー、ナポレオン、バルチック艦隊、アテネなどなど慢心からくる失政が国を亡ぼすのを中国などはどうして学ばないのか。

 これからも不慮の大災害は世界のどこかで必ず起こる。その時に前に経験したことを踏まえ、どのように対策したか、どこに失敗があったか検証しておけば対策はより容易であろう。

 サブプライムローンが世界経済に大きな傷跡を残した。こんな政策はとるべきではなかったはずなのに、またぞろ同じようなことを経済界は行っている。

 サブプライム債を大量に保有するドイツ銀行は倒産の可能性があるだろう。新型肺炎も今世界経済に大きな害を与えている。

 SARS、MERの教訓は生かされなかった。ウイルスが世界中に蔓延したらそのウイルスに対するワクチンはどのように制作するか予備知識をもっと積み重ねておけば、開発のスピードは格段に上がるだろう。

 歴史は未来を語る。歴史をもっと学び、将来の災害の備えるシステムを構築しておくべきだ。

酒巻 修平

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