ぎっくり腰、寝違い、捻挫

 若いころ駅の階段を二段ずつ駆け下りて、酷い捻挫をしたことがある。そのときは整形外科に行って、ギブスをされ松葉杖を突いて治るまで1週間掛かった。飲みたい盛りの私は仕方なく杖を突きながら飲みに行って顰蹙をかった。

 それから1年。馬鹿な私はまたどこかで捻挫した。もう1週間も松葉杖を突いて歩くのは嫌だと思っていたら、カイロプラクティックの話をしていた人を思い出して窮状を訴えた。その人は腕のいいカイロプラクティックの施術院を紹介してくれた。料金は一回1万円。高いが来てしまったら仕方がない。

 とても痛い施術をされて1時間。歩いてみろと言われて歩くと捻挫の痛みは跡形もなく消え失せていた。1週間と1時間。料金は2,3千円と1万円。どちらを取るかは人それぞれであろうが、私は1時間と1万円を取った。それからも何か整形外科的な処置が必要なときにはそのカイロプラクティックに通った

 通っているうちに私でも簡単なのはできるよと言われた。事実私の親指は相当外側に曲がる。その後また軽い捻挫をした(私は相当おっちょこちょいかな?)ときに一番痛い患部を右手の親指を曲げて押した。捻挫が軽かったのかその時は5分で治ってしまった。(治してしまった)。

 何か月か前、友人が酷いぎっくり腰をやったと電話が掛かってきて、アポをキャンセルしてくれと言う。私は治す自信があったものだから、まあ騙されたと思って来てみたら。2,30分で歩けるようにくらいはできるよと誘うとやってきた。

 腰にコルセットを巻き、松葉杖を突いてものものしい。今日は重要なアポが2,3あって難渋しているとのこと。机を並べて上に乗らせるのもやっとの状態だ。探ってみるとある一点で酷い痛みを訴えた。

 最初はちょっと痛がるくらいから、少しずつ指の力を強くしていって2,30分。ちょっと立って歩けと言うと彼は机から降りて歩き出した。その時、何度も首をかしげる。おかしい、痛みがない。歩ける。お前は不思議な奴だなと感謝とも手品師に騙されたとも見分けられない表情を浮かべた。

 結局松葉杖を手に持ち、帰って行った。私はプロではないので、100%は治っていないよと警告しておいたけれど、その後松葉杖を返却し(一日使用料が500円だそうだ)私をからかって先生と呼んだ。

 整形外科は筋肉、筋の処置を担当しない。実は西洋医学ではそこが抜けているのだ。1週間ギブスを嵌め、松葉杖を突いて歩くのは筋肉や筋を使わなくして、自分の力で治すことだ。したがった医師が治療したように見えて、実は自分の体が患部を治療したのだ。

 ぎっくり腰や捻挫、寝違いは筋肉が自己を防御するため筋肉を硬くしている状態。これは間違った筋肉の処置だが、身体はそれが一番の防御法だと思っている。その凝り固まった筋肉をほぐしてやればいいだけで、不思議でも何でもない。

 ぎっくり腰、寝違い、捻挫などの筋肉関係の処置はカイロプラクティック師にまかせるのがいい。ただしカイロプラクティックの施術院の開業は届出制で許可性ではない。だから技術水準に大きな差があるので、かかる時は優秀なところにかからないと却って悪化させる。「Doctor of Chiropractic」というタイトルを米国で取った人は一応大丈夫だと思う。他にも上手な人は沢山いるだろうが、実際に経験した人の推薦が良いかも知れない。

 もう一つ注意しておくところがある。カイロプラクティック師は営業するということだ。念入りな論理を並べて患者が継続してくるように仕向ける。だがそんな必要はない。上記のような筋肉、筋などの疾患以外は効果がない可能性も高い。癌が治る、腎不全も大丈夫、腸閉塞も入院しなくても良いと保証するような施術院もあるようだが、私の経験では実際に治ったのを見たことがない。

酒巻 修平

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