アマゾンとネット通販

私が経営する会社の一つはダカイン・ジャパンという名前で、ダカインというブランドの横乗り系のスポーツ用品を販売していた。

 ある時営業マンが売り込みに行ったのかアマゾンから働きかけがあったのか、取引をすることになった。こちらが売る側だ。

 相手は大会社だから書面で売買基本契約書を締結することになった。勿論相手が契約案を書面にして、我が社に確認を求めた。

 当時私は会社を経営するようになってから何十年と経っていたので、無数の契約書を見てきたし、契約も締結した。しかしどれ一つとして私が手を入れなくてもいいような契約書はなかった。

 弁護士が作って自己が有利になる文言を隠してあるもの、素人が作った支離滅裂なもの、必要事項が記載されていないもの、いい加減な契約書のオンパレードだ。

 アマゾンの契約書案は5,6ページあったと記憶する。とても長いなという感想を持って読み始めた。読むのに2時間くらい掛かっただろうか。一言、一句正確で、どの条文も全体も公平なものだった。

 私はこんな優秀な契約書案を見たこともなかったのに、アマゾンは不満があったら存分に意見を述べて欲しいと言っている。多分アメリカ本国の法務部辺りが作成したものだと思うが、この契約書案のどこにも何の異論もなかった。

 私はその契約書案からアマゾンを極めて優良で、相手のことも充分考慮する会社だと判断した。一字の訂正もなく契約は締結された。

 社員さんのできは普通だったが、大会社の模範を示していた。長く取引をして互いに適正な利益を得た。我が社が努力すると売上、利益が増加する。社員さんはその努力を促す。取引した期間、私はアマゾンとの取引を楽しんだ。

 もう一社、ネット通販の会社と取引をしていた。この会社の名前は言えない。この会社は力に任せ自己都合で契約内容をこちらの承認なく変更する。コミッションレートの変更など何の前触れもなく急に次月から増率すると一方的に通告される。

 こんなことがあった。相手の担当者と連絡を取ろうとしたが、出かけていて連絡が取れない。こんなことはよくあることだが、でもその日は電話も来ない。

 システムを確認すると電話を受ける部署があって、全ての電話を一括管理していて、担当者に電話のあった旨を知らせる。これが毎日ではないのだ。詳しいシステムは教えてもらわなかったが、電話連絡があるのは1週間後だと言う。

 そのことを担当者に聞いてみた。その担当者は会社のシステムでそのようになっていると確認してくれた。そこでそんな馬鹿なシステムはないだろうと詰ると担当者は「そんな話を聞くと心が痛い」と言う。

 その担当者は間もなく退職した。多分心優しい人で自社の身勝手な行動に耐えられなかったのだろうと察する。

 その会社の社長は前職ではサラリーマンだった。その会社の費用でアメリカに渡り長期間の研修、勉強をさせてもらったらしい。ところが帰国と同時にアメリカで覚えた新ビジネスを立ち上げ、会社が支出した経費が全て無駄になったと言う。前職の元同僚でその人のいいことを言う人はいないようだ。

 近頃アマゾンから色んな商品を通販で買う。その時に我が社が交わした契約書を思い出す。相変わらず素晴らしいサービスを提供してくれ、古本などを買うのを楽しんでいる。もう一方の通販会社を私個人は取引不適格会社と認定し、取引をしない。

酒巻 修平

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