17-2-21のニュース裏読み - 人生案内

私の家で取っている新聞には毎日「人生案内」という欄がある。悩める人が自分の取るべき行動を指導してもらうのがその目的だ。

 回答者には種々の職業の人がいる。精神医、評論家、作家、スポーツ評論家もいる。

 世の中に悩みがない人はいない。その人がそのことを悩みと思っているかどうかで、悩み、苦しみ、後悔し、その他精神が自分の平和な状態から逸脱したと思っている人が悩みと感じる。

 同様の事態が起こったとき、悩みと感じない人もいる。あるいは悩みを通り越して、自殺してしまう人も中にはいるかも知れない。

 悩みは精神の問題である。脳を含めた人の体は父母から受けたもので、二進法的に制御されている。即ち精神と肉体の二つの要素から人の体は成り立っている。

 悩みの相談は自分の精神が病んだとき、自分が取るべき行動を自分で決定できない人が寄せる。これは精神に関係する問題だ。体の故障については医師が担当する。

 人の体はどの人も同じようにできているので、身体の故障は解決しないまでも、相談に対する回答の方向性は同じだ。しかし悩みの元になっている脳の働きである精神の在り様は人さまざまだ。

 脳も父母から受けたものであるから、構造は誰もが同じだ。しかし脳を使った行動の様式は一人一人が違う。上に書いたようにある事態を悩みと取る人と却って発奮材料と取る人がいる。

 結婚式で祝辞を頼まれたら、怖気づいて悩みになる人もいるだろう。中には自分の結婚観について意見を述べる機会だと武者震いして楽しみにする人もいる。人それぞれの感性があり、一つの事象に対してその人の生まれ育った環境や教えられた内容、現在の健康状態、経済的な余裕、その他数限りない要素で捉え方が違う。

 だから人生相談に応えることは本当の意味ではできない。回答者の人たちはよほど勇猛な精神の持ち主なのだろう。

 ただしそれは答え方にもよる。私は昔米長邦雄という将棋指しの「泥沼流人生相談」という本があり、私の愛読者だった。同じく種々の悩みの相談に対して米長さんが答えるのだが、基本は「自分で解決法を見いだせ。見出し方は教える」ということでこれは人生相談というのではなく、ノウハウものだった。

 米長さんの回答は正しい。他人は相談者本人ではないから、答えてあげることができない。あなた自身が回答の候補をできるだけ多く策定して、その中から自分が取るべき行動を選べと言っている。

 翻って新聞の人生案内を読むとよくまあこんな無責任な回答をするものだなあと、唖然とし、感心する。真剣に悩んでいる人に自分のやり方を押し付けて何になるのか。回答者はどうも金儲けが上手く、図々しい人たちらしい。そんな人が弱い人の気持ちが分かるのだろうか。自分ならこうするということくらいが無難な回答だろうが、そうではなく断定している。

 私はだから相談者の悩みだけを読む。人は種々の悩みを抱えているものだなあと気の毒になり、勉強にもなる。しかし回答者の書いていることを読みだすと馬鹿らしくて最後まで読むことができない。

 「人生相談」は悩みを話す場を提供しているのだ。話すことにより悩みの幾分かが解消されるのは日常茶飯事的に見ることができる現象だ。そういう意味では「人生案内」欄を設けたことは不当とは思わない。

 酒巻 修平

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